今回は、スライドに「テーマ」や「デザインアイデア」を適用して全体的な見栄えを整える。最後に「スライドショー」を実行して実際のプレゼンの流れと完成イメージを確認しよう。配布用にはPDF形式への変換が便利だ。
※日経パソコン2021年2月8日号の記事を再構成
これまで、4枚のスライドに文字や写真などを入れて内容を整えた。今回は「テーマ」機能を利用して、スライド全体の配色やデザインを設定しよう。
作例は「新しいプレゼンテーション」から始めたので、背景はシンプルだ。このままでも内容は伝わるが、イメージに合う色や模様を加えると、人の目を引き付けられる。
「デザイン」タブを開くと、いくつもの「テーマ」が並ぶ(図1)。ここに見えるのは一部だけで、一覧の右下にある「その他」ボタンをクリックすると、利用可能な全てのテーマを確認できる(図2)。テーマのサムネイルにマウスポインターを重ねると、画面のスライドは一時的にそれを適用した表示になる。
作例では「シャボン」というテーマをクリックして選択した。各テーマには1枚目の表紙と2枚目以降のデザインがあり、2枚目以降のスライドにも同じテーマでデザインが適用される(図3)。適用後も、テーマを選び直せば、後から選んだテーマに切り替わる。
テーマを選ぶポイントは、スライドの内容に合った色や模様を選ぶこと。チームカラーなどがあれば積極的に使うのもよいだろう。
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選択したテーマの基本デザインを生かしたまま、模様や色などをまとめて変更する「バリエーション」機能もある。ここでは、「あかね祭」という名前のイメージに合った模様や色合いに切り替えよう。
「デザイン」タブでは、「テーマ」の右側に「バリエーション」のサムネイルが並ぶ(図4)。それぞれのバリエーションは、スライドに適用したテーマに応じて内容が変化する。テーマと同様、プレビューを確認でき、クリックで確定する。ここでは、左から2つめを選んだ。
これで、表紙は同じ構図のまま、模様と色ががらりと変わった。2枚目以降のスライドも同じバリエーションが適用され、背景色や上下左右の縁取りが変化した(図5)。
テーマには複数の要素が含まれており、バリエーションでは一部だけの変更もできる。その場合は、「デザイン」タブの「バリエーション」の右下にある「その他」ボタンをクリックして、変更したい要素を選ぶ。ここでは「配色」を選んだ(図6)。これで、あらかじめ用意されている配色の一覧が表示される。
配色とは、スライドのいろいろな部分で用いられる色の組み合わせのこと。統一感のある複数の組み合わせが用意されており、配色を切り替えるだけで雰囲気が大きく変わる。
作例では「黄色がかったオレンジ」を選んだ(図7)。これで表紙の背景がオレンジ色になり、2枚目以降も明るい背景色になった。
テーマを適用すると、背景の色や模様だけでなく、文字のフォントや配置などの書式も切り替わる。作例で選んだ「シャボン」のテーマには、タイトルや箇条書きの文字に「MSゴシック」のフォントが設定されている。ここでは、より読みやすい「メイリオ」に変更しよう。
フォントの組み合わせも、テーマを構成する要素だ。テーマごとに、タイトル用と各項目用のフォントの2種類がセットになっている。
「バリエーション」の「その他」でメニューを表示し、「フォント」をクリックする(図8)。作例では、タイトルと項目の両方がメイリオになっている「Calibri」を選んだ(図9)。これで、全てのスライドのフォントを一括変更できる。
「テーマ」にない目新しいデザインを使いたいと思う人もいるだろう。Microsoft 365のPowerPointでは「デザインアイデア」という機能も利用できる。スライドごとにふさわしいデザインを自動作成して提示する機能だ。スライド内に配置されている文字や写真などの要素に基づいて、クラウドの高度な処理でデザイン候補を作成する。
利用するには、「デザイン」タブの「デザインアイデア」ボタンをクリックする(図10)。表示中のスライドのデザイン候補が並ぶので、気に入ったものがあればクリックするだけでよい。ここでは、2枚目のスライドの写真を大きく表示するデザインを選んだ(図11)。
一通りのスライドが完成に近づいたら、「スライドショー」を実行して、実際のプレゼンの流れと全体的な印象を確認しながら仕上げよう。
実行するには「スライドショー」タブ左端の「最初から」ボタンをクリックする(図12)。1枚目の表紙スライドが全画面で表示され、クリックすると2枚目のスライドに切り替わる(図13)。以降は順番にスライドを切り替えながら、スライドショーを進めていく。
ディスプレイを増設したパソコンなら、一方のディスプレイに「発表者ツール」画面を表示できる(図14)。この画面には、発表者用のメモや次のスライド、経過時間なども表示される。確認しながらプレゼンを進行できるので便利だ。
プレゼン後などで、説明に使ったスライドをWebページやメールで配布することがある。PowerPoint形式のファイルのまま配布される例も多いが、その場合はPowerPointを利用できる環境でなければ、内容を見ることができない。
誰でも見られるように、PDF形式のファイルに変換して配布するのがお勧めだ。PowerPointの標準機能で変換できる。「ファイル」タブの「エクスポート」から「PDF/XPSドキュメントの作成」を選んで「発行」すればよい(図15、図16)。
PDFファイルは、各種のPDF閲覧ソフトのほか、たいていのWebブラウザーで表示可能(図17)。スライドが下方向に並んで表示される。