目を引くプレゼンをするために、動きを加えたスライドを作りたいと思う人も多いだろう。パワーポイント(パワポ)には、こうしたスライド作りをサポートする機能も備わっている。図や文字が自動で動くように簡単に設定できる。

※日経PC21 2020年9月号の記事を再構成

 パワーポイントでは、動きを加えた見栄えの良いスライドを手早く作るための機能が続々と追加されている。その1つが、2019以降で利用できる「変形」という画面切り替え効果。スライドを切り替える際に、図形、写真、文字などが移動したり変形したりするアニメーションを簡単に作成できるものだ(図1)。

写真が自動で移動する切り替え効果

図1 新しく追加された「変形」機能を使うと、スライドを切り替える際に、写真や図形の配置・大きさなどが変化するアニメーション効果を簡単に設定できる
図1 新しく追加された「変形」機能を使うと、スライドを切り替える際に、写真や図形の配置・大きさなどが変化するアニメーション効果を簡単に設定できる

 利用するにはまず、切り替え前のスライドを複製(図2)。この複製したスライド上で、図形や写真などの位置やサイズを変更する。あとは「画面切り替え」タブの「変形」を選ぶだけ(図3)。すると前後がつながるように、図形や写真が自動で動くようになる。実際の様子を確認するには、「プレビュー」をクリックすればよい。

スライドを複製して配置を変更
スライドを複製して配置を変更
図2 まず、切り替え前のスライドを表示し、スライド上で右クリック(1)。開くメニューから「スライドの複製」を選ぶ(2)
図3 複製したスライド上で、写真や図形の位置を変えたりサイズなどを変更する(1)。完成したら、「画面切り替え」タブの「変形」を選ぼう(2)。これだけで、写真などが徐々に変化する切り替え効果が設定される。「プレビュー」を押すと実際の変化を確認できる(3)
図3 複製したスライド上で、写真や図形の位置を変えたりサイズなどを変更する(1)。完成したら、「画面切り替え」タブの「変形」を選ぼう(2)。これだけで、写真などが徐々に変化する切り替え効果が設定される。「プレビュー」を押すと実際の変化を確認できる(3)

 もう1つの目玉機能が「ズーム」。従来は一方向だったスライドの流れを、自在に変化させられるものだ。具体的には、スライドの中に別のスライドのサムネイル(縮小画像)を配置し、クリックでそのスライドへズームインして移動できるようになった(図4)。

サムネイルによる目次スライドを作成

図4 一般にスライドは先頭から順番に表示するが、「ズーム」機能を使うと、サムネイル(縮小画像)を使った目次のようなスライドを作れる。このサムネイルをクリックすると、そのスライドにズームインするような効果とともに、そのスライドにジャンプできる
図4 一般にスライドは先頭から順番に表示するが、「ズーム」機能を使うと、サムネイル(縮小画像)を使った目次のようなスライドを作れる。このサムネイルをクリックすると、そのスライドにズームインするような効果とともに、そのスライドにジャンプできる

 実際に利用してみよう。まずは「挿入」タブの「ズーム」を選択(図5)。するとメニューに「サマリーズーム」「セクションズーム」「スライドズーム」の3つが表示される。それぞれ「目次のようなスライドを新たに作成する」「セクション(スライドをまとめたグループのこと)単位でサムネイルを挿入する」「スライド単位でサムネイルを挿入する」というものだ。

 例えば「サマリーズーム」を選ぶと、ファイル内のスライドやセクションが一覧表示されるので、目次に含めたいものをチェック(図6)。「挿入」ボタンをクリックすると、図4左のような、スライドのサムネイルが並ぶ目次スライドが新規に作成される。プレゼン時には、ここでサムネイルをクリックすると該当するスライドが表示される。次へ進もうとするとまた目次に戻り、スライドを選べる状態になる。

「ズーム」機能で目次にしたいスライドを選ぶ
「ズーム」機能で目次にしたいスライドを選ぶ
図5 ズームを作成するには、「挿入」タブの「ズーム」を選ぶ(1)。3種類のズームが作成できるが、まずは目次のスライドを作る「サマリーズーム」を選んでみる(2)
図6 スライドの一覧が表示されるので、目次に含めたいスライドをクリックして選び(1)、「挿入」をクリックする(2)。すると図4左のようなサムネイルが並ぶ目次スライドが出来上がる
図6 スライドの一覧が表示されるので、目次に含めたいスライドをクリックして選び(1)、「挿入」をクリックする(2)。すると図4左のようなサムネイルが並ぶ目次スライドが出来上がる

 「スライドズーム」も見てみよう。こちらはサムネイルを挿入したいスライド上で操作する。「スライドズーム」を選ぶと、やはりスライドの一覧が表示されるので、サムネイルにしたいものをチェックして「挿入」を押す(図7、図8)。すると、選択したスライドのサムネイルが挿入され、プレゼン時にクリックすると、そのスライドへ移動できるようになる(図9)。

既存のスライドに別スライドへのリンクを作成
既存のスライドに別スライドへのリンクを作成
図7 既存のスライド内にサムネイルを挿入し、そのクリックで別のスライドへ移動するように設定することもできる。それにはスライドを選択し、「挿入」タブ→「ズーム」→「スライドズーム」を選ぶ(1)(2)
図8 スライドの一覧が表示されるので、移動先としてリンクを設定したいスライドを選び、「挿入」をクリックする(1)(2)
図8 スライドの一覧が表示されるので、移動先としてリンクを設定したいスライドを選び、「挿入」をクリックする(1)(2)
図9 スライドのサムネイルが挿入される。このサムネイルをクリックすると、そのスライドにズームインして移動できる
図9 スライドのサムネイルが挿入される。このサムネイルをクリックすると、そのスライドにズームインして移動できる

手書き文字をテキスト化、AIによる自動デザインも

 最新のパワーポイントでは、さらに多くの新機能が加わっている。

 例えば手書きした文字をテキストに変換する機能(図10)。ペンやマウスなどで手書きした文字を「なげなわ選択」ツールを使ってまとめて選択し、「インクをテキストに変換」を押すと、通常のテキストに変換される(図11、図12)。正しく認識されなかった場合は、テキストを選択したときに表示される右上の「…」ボタンをクリックし、別の変換候補から正しいものを選ぼう。

手書き入力をテキストに変換

図10 手書き入力機能はどのオフィスアプリでも利用できるが、パワーポイントには手書き文字を認識してテキストに変換する機能が搭載された
図10 手書き入力機能はどのオフィスアプリでも利用できるが、パワーポイントには手書き文字を認識してテキストに変換する機能が搭載された
手書き文字を選択して変換する
手書き文字を選択して変換する
図11 スライド上に文字を手書きしたら(1)、「描画」タブの「なげなわ選択」を選び(2)、手書き文字の周りをドラッグして選択する(3)
図12 手書き文字を選択した状態で、「描画」タブにある「インクをテキストに変換」をクリックすると変換できる。なお、変換したテキストを選択し、右上に表示される「…」ボタンをクリックすると、別の変換候補が表示される
図12 手書き文字を選択した状態で、「描画」タブにある「インクをテキストに変換」をクリックすると変換できる。なお、変換したテキストを選択し、右上に表示される「…」ボタンをクリックすると、別の変換候補が表示される

 スライドの見栄えを一発で向上させる新機能「デザインアイデア」も便利だ。表示中のスライドの中身をAI(人工知能)が解析し、より見栄えのするデザインを提示してくれる(図13)。操作は簡単。「デザイン」タブの「デザインアイデア」を押すだけだ。画面右側にデザイン候補が一覧表示され、クリックすれば適用できる(図14)。ただし、スライドによってはデザインを提示できない場合もある。

AIがお薦めのデザインを提示

図13 手間をかけずに、より見栄えの良いデザインに仕上げたい。こんなときには、AI(人工知能)がデザイン候補を提示してくれる「デザインアイデア」機能を使うとよい
図13 手間をかけずに、より見栄えの良いデザインに仕上げたい。こんなときには、AI(人工知能)がデザイン候補を提示してくれる「デザインアイデア」機能を使うとよい
デザイン候補の一覧から選ぶだけ
デザイン候補の一覧から選ぶだけ
図14 スライドを選択し、「デザイン」タブの「デザインアイデア」をクリック(1)。すると、画面右にデザインの一覧が表示される(2)。デザインを選ぶと、即座に反映される

 このほか、パワーポイントには配布用の資料を印刷する機能があるが、そこにスライド番号も印刷できるようになった。発表時など、見てほしいスライドを番号で指し示すことができ、わかりやすい(図15、図16)。

配布資料にスライド番号を印刷

図15 パワーポイントには配布用の資料を印刷する機能があるが、これまでスライド番号を印刷できないのが悩みだった。それが最新版では可能になっている
図15 パワーポイントには配布用の資料を印刷する機能があるが、これまでスライド番号を印刷できないのが悩みだった。それが最新版では可能になっている
印刷画面で手軽に設定
印刷画面で手軽に設定
図16 「ファイル」→「印刷」を選んで表示される印刷の設定画面で、印刷レイアウトを指定するメニューにある「配布資料にスライド番号を印刷する」をチェックすればよい

 また、スライドを順番に再生する様子を「アニメーションGIF」形式の動画ファイルとして保存可能になった。GIF形式ならウィンドウズ標準の「フォト」アプリなど多くのアプリで閲覧できるので、配布用に役立つ(図17、図18)。フォトアルバムのスライドショー動画をアニメーションGIFとして保存するのもいいだろう。

スライドをアニメーションGIFに

図17 最新のパワーポイントには、スライドからGIF形式の動画(アニメーションGIF)を作る機能がある。スライドが自動で切り替わっていくようなGIF動画を作成できるので、配布にも便利だ
図17 最新のパワーポイントには、スライドからGIF形式の動画(アニメーションGIF)を作る機能がある。スライドが自動で切り替わっていくようなGIF動画を作成できるので、配布にも便利だ
「エクスポート」から設定
「エクスポート」から設定
図18 「ファイル」→「エクスポート」を選び(1)、開く画面で「アニメーションGIFの作成」を選ぶ(2)。動画のサイズやスライドの表示時間を指定し(3)(4)、「GIFを作成」をクリックすると(5)、ファイルを作成できる
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