
魚の流通プロセスをデジタル技術で明瞭にして、透明性の高い取り引きを実現し、鮮度の高い魚を全国のスーパーに流通させる。この挑戦に果敢に挑むベンチャーがウーオ(広島市)だ。同社は2020年9月に鮮魚取引のプラットフォーム「UUUO(ウーオ)」を開始。ブラックボックス化されていた水産物の流通プロセスを開示することで商品価値を高め、水産業の活性化を狙う。UUUO経由で魚を仕入れた愛知県のスーパーは、カレイの売り上げが1.2倍になるなど成果を上げ始めている。
夕飯の買い出しにスーパーを訪れた来店者が、鮮魚コーナーでカレイを次々と手に取っていく。そのカレイのパッケージに貼られたあるシール。それは新鮮の証しだ。
愛知県のあるスーパーは、鮮魚コーナーに並ぶ商品の一部にUUUO印のシールを貼った販促施策を実施している。シールを貼った後は、カレイが前年比24%増加で売れ続けているという。UUUOで仕入れた魚は流通履歴のトレーサビリティー(追跡可能性)が担保されており、根拠を持って新鮮さをアピールできる。品質も高いため、顧客の反応も上々だ。
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同スーパーの担当者は「以前、仕入れていたカレイは身が薄いという印象だった。一方、UUUOで仕入れたカレイは身が厚く、子持ちで新鮮。サイズも豊富で顧客、従業員の双方からの評判が良い。今ではアカガレイはUUUO経由でしか仕入れなくなった」と全幅の信頼を置く。
スマホで魚を仕入れられるプラットフォーム
UUUOとは何者か。一言で言えば、漁港に近い市場とスーパーなどの小売店が直接取引できる、スマートフォンアプリを活用したデジタル市場だ。産地や漁獲日などの情報を透明性を持って開示し、適正価格で水産物が流通する市場をつくるために開発された。「水産業の課題として情報の不透明性がある。今日、スーパーで買った魚が前日に取れた魚なのか、1週間前なのかが分からない。にもかかわらず、同じ価格で売られている」という点をウーオの板倉一智社長は課題に感じていた。これは従来の水産物の流通構造に起因する。
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