2021年8月4日発売の「日経トレンディ 2021年9月号」では、「道の駅&サウナ 最強ランキング」を特集。震災復興を象徴する施設として、福島県浪江町に新規開業した道の駅「なみえ」(東北ランキング6位)。地域色豊かなグルメや土産物を販売し、アイドルのももいろクローバーZとのコラボも展開。町民の新たな居場所になるとともに、旅の目的地としても注目度を高めている。
※日経トレンディ2021年9月号の記事を再構成
2021年3月に開業した「なみえ」(福島県)は、道の駅の新たな形を提示した施設として注目されている。東日本大震災と原発事故で壊滅的な被害を受け、長期の避難を余儀なくされた浪江町の人々は、避難指示解除後に少しずつ戻ってきている。「観光客だけでなく、町民が毎日来たくなるような場所にすることも意識した」と駅長の東山晴菜氏は言う。
福島県「なみえ」(東北6位)
東山氏は施設づくりにあたり、町民の声を徹底的に聞いた。出てきたのは「浪江のものを口にしたい」という切実な願いだ。そこで震災前に町内で人気だったパン店「高野菓子舗」のコッペパンを再現し、焼きたてを販売。また、試験操業で再開した請戸漁港から魚を仕入れ、フードコートのメニューとして提供することにした。
海の間近にあった酒蔵が津波で流され、山形県に避難して酒造りを続けていた「鈴木酒造店」も、新たに酒蔵を作り、醸造と販売を行うことになった。こうして震災前の浪江町が凝縮するかのごとく、懐かしい味が次々と復活を遂げ、道の駅なみえは町民の新たな居場所といえる存在になっている。
新規の挑戦も行っている。その一つが、元々は畑を荒らす鳥獣被害対策で作っていたトウガラシを、町内で本格的に栽培したことだ。現在、人気の土産であるショウガのしょうゆ漬け「うまくて生姜ねぇ!!」に使われている。「多くの町民がグルメや土産に携わる“オール浪江”による運営が成果を上げている」(東山氏)
実際、現地を訪ねると、周囲の既存の建物とは外見がまったく異なる、ピカピカの真新しい道の駅なみえが目に飛び込んできた。駐車場には次々と車が乗りつけ、人が吸い込まれるように館内に入っていく。昼時になるとフードコートには長蛇の列もできていた。周りとは別世界の活気がここにはある。
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地域色豊かな土産物 一番人気は浪江町のソウルフード
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