2021年8月4日発売の「日経トレンディ2021年9月号」では、「道の駅&サウナ 最強ランキング」を特集。サウナに魅せられる人が急増し、第3次ブームが到来した。新しいタイプの施設も全国で次々と開業しており、自然の中や都心のビルの屋上に設けた新感覚サウナなど、5つのトレンドを総まとめした。これから始めたい初心者は、サウナ愛好家に聞いた「初心者が一生に一度は訪れるべきサウナ ベスト10」を参考にしてほしい。
※日経トレンディ2021年9月号の記事を再構成
サウナに魅せられて、リピートする人が急増している。1964年の東京オリンピック直後に起こった第1次ブーム、スーパー銭湯の開設が相次いだ90年代の第2次に続き、今回は第3次ブーム。都市部の施設に愛好家が押し寄せて、場所によっては予約待ちでなかなか入れなくなるなど、サウナ熱は最高潮に達しつつある。
火を付けたのは、多忙な起業家やトレンドに敏感なタレントたちだ。2016年ごろから、評判のサウナ施設を訪ねて、そこで仲間とくつろぐ様子を写真付きでSNSに相次ぎ投稿。インフルエンサーによる地ならしが済んだところで、19年にテレビドラマ化されて話題を呼んだのがタナカカツキ氏の作品『サ道』である。
サウナの魅力や評判の施設ごとの個性を分かりやすく紹介する『サ道』によって広まったのが、「ととのう」というフレーズだ。温冷交代浴と呼ぶ新しいサウナの入り方によって得られる深いリラックス効果のことを指す。温冷交代浴は、サウナ室から出た後に水風呂へ入り、外気浴で体を休めるというルーチンを何度か繰り返すこと。冷たい水につかって風に当たると、頭がスッキリした感覚に包まれ、多くの場合、恍惚感や多幸感にひたれる。
一体それはどんな感覚なのだろうと、サウナを縁遠く感じていた人も興味をそそられて、自分でもぜひ味わってみたいと考えたようだ。こうして再びサウナという言葉が世間で脚光を浴びるようになっていった。
愛好家の需要が期待できることから、新しいタイプのサウナ施設が全国で続々と開業している。昔ながらの施設が大型リノベーションを実施して、現代風に生まれ変わるケースもある。
一つは、全国各地にある施設を一人または仲間と訪ねて回るサウナの旅、つまり「サ旅」向きの施設だ。例えば、海や川、湖を水風呂として使うサウナ。新潟県柏崎市の「サウナ宝来洲(ホライズン)」は、砂浜に建てられたサウナ室で汗をかいた後、目の前にある日本海で大空を眺めながら体を冷やせるので、格別の解放感を得られる。
一方で、都心のビルの屋上にサウナ室や水風呂付きのスペースを設けて貸し切りにするなど、普段の生活で立ち寄れる本格的なサウナ施設もトレンドだ。フィンランド最北端地方の寒さを再現したアイスサウナを併設するなど、個性的な施設も数多く生まれ、愛好家を喜ばせている。
興味深いのは、サウナにはまったビジネスパーソンが同じ会社の仲間とサウナ部を結成し始めていることだ。年代や性別の壁を越えて社内コミュニケーションを図れる道具としても、サウナが脚光を浴びている。
今やその輪が広がり、企業のサウナ部の連合組織「JAPAN SAUNA-BU ALLIANCE」も誕生。65社1000人超の大所帯で日々サウナ情報を交換したり一緒に施設を巡ったり「サ活」を目的に活動している。中にはサウナをきっかけに異業種間交流が生まれ、新規ビジネスに発展した例もある。
とどまることを知らないサウナブームを知るために、サウナに精通するコラムニストやJAPAN SAUNA-BU ALLIANCE加盟企業のサウナ部長など30人に「初心者が一生に一度は訪れるべきサウナ」を聞いた。結果、上位には全国各地の施設が並んだのはその証左だ。ととのうためだけにその地を訪れる旅が、新時代のスタイルとして活況を呈す可能性が高い。
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