
スターバックス コーヒー ジャパン(東京・品川)の一部の店舗のみで販売する、日本各地のものづくりと協業した特別な商品群がある。「JIMOTO made Series」だ。その土地のコミュニティーの一員でありたいと考え、各地域とのつながりをより強く、深くするための活動の一環。2021年6月には、47都道府県ごとの特徴を反映した、その地域のみの限定商品「47 JIMOTO フラペチーノ」も発売した。
東京・墨田にある6店舗で販売するJIMOTO made Seriesは、伝統工芸品である江戸切子の「スターバックス アイスコーヒーグラス」だ。「七宝」「八角籠目」「あられ」という江戸切子の伝統的な文様を3つ施したグラスには、6つの長方形と「STARBUCKS」ロゴが入っている。6つの長方形は、店舗用の紙製カップの背面にあるオーダー内容の記入欄がモチーフだ。価格は3万8500円(税込み、以下同)で、スターバックス コーヒーのほかの商品と比べるとかなり高価だが、美しさや伝統工芸とのコラボ商品であることを考えると納得感がある。
広島・宮島にある店舗で販売しているのが、宮島御砂焼で作った「コーヒーアロママグ Momiji 444ml」だ。広島の県木であるモミジの本物の葉を貼り付けて模様を描く「もみじ紋」を施したマグカップで、コーヒーの香りを楽しめるよう、飲み口がすぼまった丸っこい形状をしている。
京都にある3店舗では「縁起物チャーム」を販売。京都・祇園に伝わる「福玉」から着想を得て、島田耕園人形工房の御所人形でできた「招き猫土鈴」など、5種類あるうちのチャームが1つ、丸いカプセルに入っている。
2016年から販売しているJIMOTO made Seriesにはほかにも、色彩豊かな石川県の九谷焼や、伝統技法の飛び鉋(かんな)を施した福岡県の小石原焼のマグカップなど、21年8月時点で14の商品がある。
各地のものづくりの魅力を伝える
JIMOTO made Seriesの商品に共通するのは、コーヒーにまつわるものや、コーヒーを飲むシーンに存在するもので、かつ日本の産業や素材に由来すること。これらは、その土地やその土地の産業、その土地に住む人たちを大切にしたいという思いを育むために開発した。衰退傾向にある日本各地のものづくりの魅力をより多くの人に知ってもらい、手にするきっかけを生み出すことを狙いとしている。
スターバックス コーヒー ジャパンは、店舗がその土地のコミュニティーの一員でありたいと考える。そのため、各地域とのつながりをより強く、深くするためにさまざまな活動に取り組んでいるのだ。
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