「メガネスーパー」を展開するビジョナリーホールディングス(HD)は、2020年11月からLINEを活用したコンタクトレンズ販売のOMO(オンラインとオフラインの融合)を推進。前月比20%増の売り上げを達成しているほか、LINE利用者はLTV(顧客生涯価値)が3.7倍という成果も見えてきた。

(写真提供/ビジョナリーホールディングス)
(写真提供/ビジョナリーホールディングス)

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 LINEを使って、店舗へ行かずに思い立ったときにコンタクトレンズを購入できる。そんな購入体験を実現しているのが、メガネスーパーが20年11月に開始した「コンタクトかんたん注文LINE」だ。LINE公式アカウントを「友だち」登録した後、LINEのトーク画面からコンタクトレンズなどの商品を探すことができる。初めての利用の場合は、欲しい商品をカートに入れた後、「LINEでログイン」を押して、注文に必要な情報を登録してから注文する。購入した商品は、自宅やメガネスーパーの店舗のほか、コンビニや郵便局でも受け取れる。

「コンタクトかんたん注文LINE」では、LINE上で商品を検索し、購入する。店舗で受注し再び取りに来る流れが必要なく、利用者が思い立ったときにコンタクトレンズを購入できる仕組みになっている
「コンタクトかんたん注文LINE」では、LINE上で商品を検索し、購入する。店舗で受注し再び取りに来る流れが必要なく、利用者が思い立ったときにコンタクトレンズを購入できる仕組みになっている

 ビジョナリーHD 取締役 CDO兼CIOの川添隆氏はこう語る。「コンタクトレンズは、受注して数日後に店舗で受け取ってもらう流れが必要な商品。本当は今欲しいのに買えない、というペイン(課題)が顕在化していた。電子商取引(EC)の仕組みをもっと整えて、即時で渡せたらいいと思った」。コンタクトレンズの利用者は、使う商品が決まっており、それが切れたら買い足す。いわば日用の消費財だ。だからこそ、簡単に購入できる仕組みが必要になる。そこで着目したのがLINEだった。

LINEはサービス構築の土台

 同社がLINEを活用し始めたのは川添氏が入社した2013年。当時メガネスーパーはメガネチェーン間の競争激化で債務超過に陥り、企業再生に取り組んでいた。当時のマーケ手段はチラシ広告がメイン。川添氏ははがきのDM(ダイレクトメール)でリピーターに呼びかける施策とともに、LINEの企業アカウントを立ち上げた。

 川添氏は前職のアパレル系ブランドの取り組みでもLINEを利用しており、「配信の即時性があり、LINE自体の勢いを感じていた」。LINEを通して、登録者にクーポンを配信することで登録を促した。さらにメガネスーパー公認キャラクターのフクロウ「フクタン」のLINEスタンプを配信するなどで、200万人ほどに「友だち」が増えていった。

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