
LINE、Twitter、InstagramなどSNSは企業にとって消費者とのつながりを構築するうえでも欠かせない手段となっている。ユーザーの利用動向に合わせ、各プラットフォーマーから新たなPR手法が続々と登場している。キリンビールの事例と併せ、今注目すべき5つのSNSマーケティングのトレンドを示す。
「コロナ禍による消費者の生活が大きく変化している。製品の購買検討だけでなく、情報収集、動画の配信まであらゆる行動がオンラインに移行しつつある」。Facebook Japan(フェイスブックジャパン、東京・港)でD2Cを含むEコマース・ファッションと小売業界の営業部門を統括する執行役員営業本部長の鈴木大海氏はそう分析する。
withコロナで外出ができない。だからこそ、手のひらに収まるスマホで手軽に人や社会とのつながりを確保し、買い物で消費するための情報や手軽な娯楽を得るための手段として、SNSの存在感はますます高くなっているというのだ。
必然的に、メーカーなど企業の広告も、SNSの比重が高まっている。電通などが2021年3月に公表した「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、20年のSNS関連の広告費は前年比116.1%となり、ネット広告全体の3割を超えた。調査会社ニールセンデジタル(東京・港)によるスマホアプリ利用時間によるランキングを見ても、SNSアプリが上位を占めており、人々の生活に不可欠なものであることが分かる。サード・パーティー・クッキーの規制が広がり、従来のネット広告に置き換わる新たなマーケ手法が求められていることも、SNSマーケティングが広がる理由の一つといえる。
日経クロストレンドでは特別取材班を構成し、製品やサービスのプロモーションに動画投稿サービスを含むSNSアプリをどう活用しているかを多数の企業に聞いた。そこから見えてきた5つのSNSマーケティングのトレンドは5つある。
まずは「(1)EC連携」だ。ECとの連携を強化するSNSは多い。フェイスブックは、国内で20年6月にFacebookやInstagramで利用できるショップ機能を提供開始した。中国バイトダンスのTikTokも21年2月にECサイト構築サービスのShopifyとの連携を国内で開始すると発表している。
次に「(2)リモート接客/ライブコマース」。「コロナ禍でリアルで会うことが難しい中、生の体験をユーザーは求めている」(フェイスブックの鈴木氏)と見る。実際、Instagram上ではライブ配信の視聴が全世界で急激に増えており、新型コロナウイルス感染症が拡大した20年3月の週次データでは前週と比べて50%増となった。フェイスブックはライブ配信中に商品を購入できるライブショッピング機能も米国でテスト中だ。
20年からInstagramでライブ接客の配信を始めた化粧品メーカー、オルビス(東京・品川)のSNS担当マネジャー小嶋一平氏は「実際にお客様が店舗に来たときと同じように、自然体で店舗を案内し、好反応が得られている。コロナ禍でもお客様も企業とカジュアルにコミュニケーションを取りたいことが分かった」と話す。
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