
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う新しい生活様式として、外出時のマスク着用は今や欠かせない習慣の1つとなった。だが食事中は、マスクをどうするか。外してテーブルにそのまま置いたりポケットやカバンに入れたりする人もいるが、衛生面を考慮するといずれもベストな選択とは言い難い。そこで注目される商品が、マスクを畳んで入れておくための、いわゆるマスクケースだ。
マスクケースを外出時に携帯すれば食事中にマスクをきれいに保管できるし、衛生面はもちろん、洗練された人という好印象を周囲に与えそうだ。
市場調査会社の富士経済は、2020年の家庭用マスクの国内市場を約5020億円、前年比で約12倍の伸びを見込むなど、もはやマスク着用は当たり前になった。マスクケースも各社から登場し、紙製で数百円程度の使い捨て商品も多い。最近はデザイン性を高めたり抗菌・抗ウイルス性などの機能を向上させたりした高級なマスクケースが相次いで登場している。
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室内の明かりでも抗菌・抗ウイルス
アッシュコンセプト(東京・台東)は自社開発の「Anti-Virus Mask Case」(アンチウイルスマスクケース)を21年8月に発売した。使ったマスクを入れ、2つ折りにしてテーブルに置いたりポケットに入れたりすれば、マスクをきれいに保管できる。
最大の特徴は商品名が示す通り、光触媒の技術を活用した抗菌・抗ウイルスの機能だ。東京大学と地方独立行政法人の神奈川県立産業技術総合研究所が特許を持つ「ウィルアンパウダー」(東京・台東のナカ工業製)を塩化ビニール樹脂に配合。室内の明かりや暗所でもウイルスや細菌を減らし続けるという。これを利用してマスクケースを作ったため、マスクを入れておくだけで安全性が高まるわけだ。
「紫外線に反応する抗菌・抗ウイルスの技術は多いが、室内の光にも反応して効果が長時間、持続するといった特徴もある。この技術の良さをマスクケースとして伝えたかった」と商品開発を担当した鶴田泰明氏は話す。すでに同技術は廊下や階段の手すりなどにも使用されており、抗菌・抗ウイルスの実績が評価されているようだ。
Anti-Virus Mask Caseの価格は2200円(税込み、以下同)。数百円の商品に比べると高価だが、それだけ機能には自信があるという。
デザインで高い機能を表現するため、パッケージにこだわった。ダークグレーでロゴを描き、抗菌・抗ウイルスの効果を図表で示した。「パッケージを見たときに他のマスクケースと違い、効き目がありそうと思わせるようにした」とデザインを担当した古橋花奈氏は言う。
手軽に持ち運べるように本体のサイズも工夫した。2つ折りにして外形は9.5×11.5センチメートル。洋服の胸ポケットに入る。色は白。ブルーで小さく「Anti-Virus」の文字を入れたほか、ブルーで使い方などのイラストを描いている。
サイズは1種類だが、2つ折りにしない長いタイプも試作していた。両方を社内で実際に使用した結果、2つ折りのほうが使いやすかった。
「Anti-Virus Mask Caseを取引先にも見せたところ、非常に好評だった。今まで自分が欲しいと思うマスクケースがなかったという声が多く、ニーズはありそう。アッシュコンセプトにとっては、衛生関連用品の新しい取り組みになった」(取締役の名児耶海氏)。Anti-Virus Mask Caseはアッシュコンセプトの店舗やネットなどで販売している。
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