
リモートワークに対応して仕事道具一式を運ぶバッグや、パソコンやタブレットを好きな角度に傾けて使えるスタンドなど、長期化するコロナ禍の中で様々な「ニューノーマル対応商品」が生まれている。2021年7月12日にコクヨが発売したポータブルワークスペース「Rooney(ルーニー)」もコロナ禍の下で開発を本格化。働き方の変化を捉え、出した答えが「持ち運べるじぶん空間」というコンセプトだ。
コクヨは、2020年11月に自社ECチャネル「KOKUYO Workstyle Shop」を開設するなど、在宅ワークをする人の環境を整えたいという消費者の声に応えてきた。Rooneyを開発したファニチャー事業の20年のEC売り上げは、前年比で約3.5倍に伸長しているという。
ファスナーを閉めるとパソコンバッグのように持ち運べるRooneyは、「Room(部屋)」と「Journey(旅)」を掛け合わせた名前だ。屋外でも室内でも旅先でも、自分のスタイルで仕事ができる「空間」を提案する。
Rooneyの主なターゲットには、自由に場所を移動して働くことを好む若手や、自宅のリビングや寝室を移動しながら働いている世帯などを想定。BtoBで法人に向けた販売経路を主とするが、発売直後からBtoCに向けた販売チャネルで個人が買う動きも見られるという。
Rooneyを開発したファニチャー事業本部では、オフィス家具を中心に収納や家具などの開発が中心で、今回のような「バッグ」の開発は挑戦的な試みだった。ファニチャー事業本部ものづくり本部DX戦略部の林俊祐氏は、「(既存商品が多い)PCバッグを作っても、既にブランドをしっかり持っている競合に勝つのは容易ではない。バッグを作るというより、Rooneyを使ってどういうスタイルで仕事をしてほしいかを考えた」と振り返る。
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バッグではなく“持ち運べる空間”をつくる
Rooneyの構想は、19年末に始まった。その時点では、個人ロッカーのあるフリーアドレス制のオフィスなどで室内移動する用途を想定していた。が、20年に入ってから新型コロナウイルス感染症が拡大。全国的にリモートワークが広がった。Activity Based Working(アクティビティー・ベースド・ワーキング)と呼ばれる、場所を限定しない働き方を前提とした商品を提案できればと、企画をゼロからやり直した。
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