ヒット文具・ユニーク雑貨のつくり方 第2回(写真)

SDGs(持続可能な開発目標)の認知が広まりつつあるが、実は文房具メーカーの多くはリサイクルに関して強い意識をもともと持っている。海洋プラスチックを利用したボールペンや最後まで使い切れる鉛筆など、技術を駆使して環境保全に取り組むメーカーの最前線を追った。

 SDGs(持続可能な開発目標)に対する関心が高まり、リサイクルごみを使ったスニーカーや古タイヤで作ったバッグなど、廃棄物から生まれた商品が大きな話題になっている。

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 実は文房具の分野では、リサイクル原料である再生樹脂を使用している商品が以前から数多くある。世の中の環境意識の高まりのほか、大企業や官公庁が環境に配慮した事務用品を優先的に購入するという動きが20年以上前からあり、リサイクル材を使用した筆記具などはもはや定番とも言える。

【特集】ヒット文具・ユニーク雑貨のつくり方
【第1回】 13年ぶりブランド刷新 Z世代をつかんだ「uni」シヤープ替え芯
【第2回】 海洋ごみからボールペン 廃棄物から生まれるサステナブル文房具 ←今回はココ

 これまでは家電製品の樹脂部品や工場から出た端材などを回収してリサイクルされた再生樹脂を文房具に使うことが多かった。しかし、パイロットコーポレーション(以下、パイロット)が2020年12月に発売した油性ボールペン「スーパーグリップG オーシャンプラスチック」(以下、オーシャンプラスチック)は、その名の通り「海洋プラスチック」からリサイクルした再生樹脂を使用したもの。陸や川で捨てられて海にたどり着いたプラスチックごみを日本国内で回収し、筆記具の素材として再利用した日本で初めてのペンだ。

 ロゴマークやメッセージを入れられる白い軸やクリッププレート付きのタイプを用意するなど、オーシャンプラスチックの需要の多くは企業のノベルティー用途。大手企業からの引き合いも多く、発売半年で約50万本を売った。08年のリーマン・ショック以降、文房具の法人需要は業界全体で減り続けているが、そうした中では久々のヒットと言える。

 価格は既存商品の「スーパーグリップG」と同じ110円(税込み)。本来であればこうした商品は割高になりがちだが、海洋プラスチックを使った商品を少しでも多く流通させ、広く使ってもらうために企業努力を重ねて同価格に抑えたという。

オーシャンプラスチックは白い軸タイプも用意。軸に企業のロゴマークなどを入れられる。紙のパッケージはノベルティーのサンプル
オーシャンプラスチックは白い軸タイプも用意。軸に企業のロゴマークなどを入れられる。紙のパッケージはノベルティーのサンプル
年800万~1200万トンものプラスチックがごみとして海へ放出されているという
年800万~1200万トンものプラスチックがごみとして海へ放出されているという

 開発のきっかけは、パイロットがリサイクル事業を行うベンチャー企業テラサイクルジャパン(横浜市)と組み、20年4月から行っている「ペン回収プログラム」。パイロット社内の各フロアに箱を用意し、使用しなくなった筆記具を集め、テラサイクルジャパンがリサイクルするという活動だ。このプログラムに関連してテラサイクルジャパンと打ち合わせを重ねることで、「地球環境に甚大な影響を与える海洋プラスチックについて深く学び、何とかこの素材を商品に活用できないかと考えた」(開発を担当したパイロットコーポレーション商品企画部の伴野晃氏)

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