
共創型メーカーTRINUS(トリナス、東京・渋谷)のオープンプロジェクトから生まれた「花色鉛筆」。日本を代表する伝統的な花の形と花の色を表現し、芯を削ると削りかすが本物の花びらそっくりになる。21年7月には削りかすを貼って立体イラストを作れる新商品も登場。一般的なプラスチックと同じように成型可能で、同時に、プラスチックより環境性能に優れる素材を使い、デザインと環境配慮を両立させた。
TRINUS(トリナス、東京・渋谷)は2014年設立の共創型メーカー。革新的な技術を持つ日本の中小メーカーやクリエイターとのコラボレーションを通じて、ほかにはないユニークな商品開発を目指している。
トリナスの事業の一つに、企業に眠るリソース(技術・素材・知財など)をオンライン上のプラットフォームに公開し、クリエイターから活用アイデアを募るという「OPEN PROJECT(オープンプロジェクト)」がある。登録クリエイターは4000人以上で、1つの募集テーマに対して平均150以上のアイデアが集まるという。
そんなオープンプロジェクトから16年に誕生したヒット商品が「花色鉛筆」だ。デザイナーの大友敏弘氏のアイデアを採用した商品で、発売以来、シリーズ累計で約3000万円を売り上げた(20年9月時点)。
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【第3回】 削りかすが花びらになる「花色鉛筆」 デザインと環境配慮を両立 ←今回はココ
日本を代表する伝統的な花の形と花の色を表現した色鉛筆で、桜(さくら)、紅梅(こうばい)、蒲公英(たんぽぽ)、常磐(ときわ)、桔梗(ききょう)の5種類がある。色合いのバランスや、削りかすの形の美しさを考慮して、この5種類を選んだ。芯の周りの軸部分には紙パウダーを主原料とした成型材料「MAPKA(マプカ)」を使用しており、鉛筆削りで削ると削りかすが本物の花びらそっくりの形になる。手紙に添えたり、イラストや工作の素材にしたりと、楽しみ方も色々だ。価格は5本1セットで1980円(鉛筆削り付き、税込み、以下同)。ギフト需要も高く、顧客層は20~60代まで幅広い年齢層の男女だ。
シリーズ品として、17年12月には空から舞い降りる雪の形と色をモチーフにした「雪色鉛筆」、18年11月にはポインセチアなどをモチーフにした「花色鉛筆/Christmas edition」も発売。どちらも、クリスマスシーズンのギフト用に人気の商品だ。
実は紙が主原料
花色鉛筆開発のきっかけとなったオープンプロジェクトの募集テーマは「廃棄古紙を主原料とした環境配慮素材MAPKA」で、14年11月から15年1月にかけてアイデアを集めた。花色鉛筆は、約140件のアイデアの中から選ばれた。食器や文房具、アクセサリーなどさまざまなアイデアがあった。
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