
コニカミノルタが自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に一段と力を入れ始めた。2021年7月1日から、全国の地方自治体のDXを支援する「自治体DX支援プラットフォーム」の販売を、各地の自治体向けに推し進めているのだ。モデル自治体の業務をデータで「見える化」したことを強みとする同社のサービスと、同社が支援している長野県のDXの取り組みから、今後の自治体DXの進展の方向性を読み解く。
コニカミノルタのコピー機やスキャナーを一体化した複合機は、実は自治体にはほとんど導入されていない。つまり、かつての同社はいわゆる自治体ビジネスからは縁遠く、NECや富士通、NTTグループといった自治体との関わりが長くて深いIT系企業から見ると、いわば“異業種の新参者”と言っても過言ではない。それが今や、同社ならではの強みを持つ、自治体DXを推進する主要な担い手の1社と多くの自治体からみなされている。
コニカミノルタがそうみなされる最大の強みは、約2年半前から同社が進めてきた自治体の全庁業務量調査にある。
【第2回】 社長自ら自治体のCDOに! 通信やBPOで行政DXに挑むNTTグループ
【第3回】 手書き99.2%認識、がん検診6.5倍 自治体で導入進む新興DX
【第4回】 業務を「見える化」して自治体DXで先行 コニカミノルタと長野県 ←今回はココ
全国に約1700ある自治体を、(1)都道府県(2)人口50万人以上が原則の政令指定都市(3)人口30万人以上の中核都市(4)それ以外の基礎的な都市──という4つのレベルに規模別に分け、それぞれのレベルからモデル自治体を選定。自治体と連携協定などを結んで、職員への聞き取りなどでその業務量を細かく調査し、データ化してきたのだ。
既に50以上の自治体から収集した、約80万件に及ぶ膨大な全庁業務量調査のデータを抱えている。コロナ禍の中、競合他社が同じような聞き取り調査を自治体に実施して対抗するのは、事実上難しい。
標準化を見据え、あるべき業務フローを7つのパターンで示す
このデータを使って自治体の業務を「可視化」。さらにAI(人工知能)などを使って「分析」を進め、複数自治体による情報システムの共同利用や国が進める各種情報システムの「標準化」などを近い将来のターゲットとして見据えながら、業務の効率化を目的とする「最適化」されたサービスを、自治体に提案してきた。このコンテンツ・機能は有料会員限定です。