
加速する「自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)」の動きを、IT系企業はどのように捉え、どうやって新たな商機に結び付けようとしているのか──。NTT東日本、NTTデータという、これまでに培ってきた自社の強みを前面に出すNTTグループの大手2社の取り組みをひもとく。
「コロナ禍で自治体に実際に足を運ぶ機会は以前より減ったが、2021年に入って自治体との仕事は以前よりも増えつつある」
こう語るのは、NTT東日本で自治体向けビジネスを推進するビジネスイノベーション本部 地方創生推進部 公共ビジネス担当 担当部長の宮沢繁氏だ。
自治体、NTT東ともテレワークが主体になり、自治体を訪ねるNTT東の担当者に必須だった移動時間が従来よりも減った分、オンラインの接客に充てられる時間が増え、自治体側のニーズを受けて具体的な商談につながるケースが増えているという。また、従来は会場に参加者を集める形で開催していたイベントをオンライン開催に切り替えたところ、これまで会場に顔を見せなかった地方の自治体関係者が参加して集客が増え、新たなビジネスに発展するケースも出てきたという。自治体側がDXに対して真剣に取り組もうとしている度合いがうかがえる。
NTT東は、営業エリア内の全都道県に拠点(支店)を構えており、各地の自治体と商談が進み始めると、オンライン商談に加え、担当者が必要に応じて県境をまたがずに自治体に駆けつけられる。この態勢そのものを強みとして、自治体側のニーズを刈り取る考えだ。
もっとも、最初の商談は順調に進んでも、自治体がDX推進に役立ちそうだと魅力を感じる製品やサービスを用意しないと、そこから実際のビジネスに話が広がっていかない。そこでNTT東では、自治体DXを見据えたビジネスとして、競合他社に対して優位を保てると踏んだ2つの分野を主に攻める作戦で臨んでいる。
本業の通信関連の分野で優位を打ち出す
1つは通信関連のシステムだ。テレワークやワーケーションが普及した結果、自治体でもセキュリティーが高く、高速かつ確実に稼働する通信ネットワークへのニーズが急増している。このニーズを取り込もうというのだ。
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