自宅で楽しむ「巣ごもりエンタメ」がコロナ禍で生活に浸透し、今後も定番テーマの一つになる。株のプロが注目銘柄に挙げるのは、コンテンツを多面展開するソニーグループや電子書籍配信を手掛けるビーグリーなどだ。事業・サービスの仕組みとして活用が広がる「ブロックチェーン技術」では、メルカリなど新たな利益創出に動く企業の魅力が増している。
※日経トレンディ2021年8月号の記事を再構成
外出を控えて家で過ごすことが当たり前になった今、自宅エンタメは銘柄選びの定番テーマになる。アフターコロナにも引き続き消費者に求められる企業は、一段の収益成長が見込まれる。

坂本慎太郎氏
証券会社で株式と先物の売買を担当。かんぽ生命保険を経て、個人投資家育成のため、こころトレード研究所を設立する。ラジオNIKKEIの投資番組でも人気

鈴木一之氏
大和証券で株式の売買・分析に従事する。その後、インフォストックスドットコムで日本株チーフアナリストを務める。07年に独立し現職

藤ノ井俊樹氏
投資歴約50年。本来あるべき株価と実際の株価とのギャップを利用した「ミスプライス投資」を通じて、個人投資家に情報提供を行う
その有力候補に挙がるのが、ソニーグループ(東1・6758)だ。2021年5月、世界での顧客基盤を現在の約1.6億人から10億人に広げるための取り組みを、特にモバイルやソーシャルの領域で加速させるとし、今後の積極的な投資を明らかにした。1つのコンテンツで映画、音楽、ゲームと多面展開するという。また、EV(電気自動車)の「VISION-S」を開発中で、「新たなブランド価値の創出も期待される」(藤ノ井俊樹氏)。
ゲームアプリ分野も伸びしろがある。サイバーエージェント(東1・4751)は、ヒットを飛ばしたスマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」を制作したCygames(東京・渋谷)をグループ会社に持つ。このヒットのおかげで、同社は業績拡大の余地が広がった。
「『パズル&ドラゴンズ』を開発したガンホー・オンライン・エンターテイメント(東1・3765)、『モンスターストライク』を世に送り出したミクシィ(東1・2121)。過去にヒットした類似例を見ると、長期間にわたって会社に利益をもたらし続けている。今回のサイバーにも同じ効果がもたらされるのではないか」(坂本慎太郎氏)。新規事業に積極的な同社は、ウマ娘が生み出す利益を使ってさらなる成長を狙うことも可能だろう。
ゲームと並んで、電子書籍市場も好調だ。電子書籍配信サービス「まんが王国」を手掛けるビーグリー(東1・3981)は、利用者層を拡大させている。同社はポイントの購入と消費とを合わせて、毎日最大50%が還元されるポイントプログラムを常時実施。21年1月に会員が450万人を突破するなど着実な成長を続ける。21年12月期はオリジナル作品の強化などを進めて、課金者数の増加を目指す注目銘柄だ。
メルコホールディングス(東1・6676)は、テレワークや自宅エンタメの市場拡大を踏まえ、主力であるパソコン周辺機器の積極的な販売活動に取り組む。大幅な増収増益となった前期に続き、22年3月期も前期比で売上高8%増、経常利益10%増の成長を見込む。
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