早稲田はバンカラで慶応はスマート。昭和世代はまだそんなイメージを持っているかもしれない。しかし、両大学の実態はこの20年で大きく変わった。一口に言えば、早稲田大学の変化によって、両者の間にあった違いがかなり薄くなっているのだ。ここでは、各種のデータから早慶の現状を見ていく。
※日経トレンディ2021年8月号の記事を再構成
【第2回】 メルカリ・小泉文明会長 経営者の原点は巨大サークルの立て直し
【第3回】 スマイルズ・遠山正道社長 慶大・浅井ゼミで培われたリーダー論
【第4回】 20年で縮んだ早慶の差 改革光る早稲田、慶応は資格・就職で優位←今回はココ
早慶の差が縮んできているのは、基本的なデータを見ても明らかだ。20年前、女子学生の比率は慶応義塾大学の方が少し高かったが、現在はほぼ同じ。『早稲田と慶応の研究』などの著書があるオバタカズユキ氏は「1980年代ごろまで、早稲田は全国から多様な人が集まるイメージだったが、約10年前から、入試における地方(1都3県以外)出身者は、どちらも3割を切っている」と、早稲田大学の地方色の薄れも指摘する。卒業生の就職先上位も似たような企業名が並ぶ。
その主因の一つが、早稲田がこの20年間に実施した様々な改革だ。2004年に、当時は珍しかった国際教養学部を新設し、英語を駆使する華やかな学生が早稲田キャンパスを歩くようになった。さらに07年には理工学部や第一文学部、第二文学部を再編。また教員の増員にも力を入れ、教育力の指標の一つである「教員1人当たり学生数(ST比)」も向上している。
対する慶応で目立つのはM&A(合併・買収)による拡張だ。08年には共立薬科大学との合併で薬学部を設置。20年からは東京歯科大学との合併協議も始まり、23年には歯学部が誕生する見込みだ。もともとの強みだった医療系を強化するという方向性で、医学系の研究力向上や慶応発スタートアップ企業の伸長という面では成果を挙げつつある。
では、日本の大学全体の中で、現在の早慶はどのポジションにあるのか。次のページでは、就職、資格、国際性、高校教員からの評価など、10種類のランキングを通してチェックしていく。
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