「売らない店」なのに併売率がECの1.5倍の謎 驚異のシャンプーD2C(画像)

月額制パーソナライズシャンプーなどのD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドを展開するSparty(スパーティー、東京・渋谷)は、有楽町マルイに常設店を構える。髪質・頭皮診断を通じたカウンセリングサービスを売りとし、購入自体はECサイトで行う「売らない店」だ。店舗を訪れた人の実に約8割が定期購入の会員となり、併売アイテムの購入率はネットオンリーの顧客と比べて1.5倍に達する。好調のワケを探った。

2021年6月にリニューアルされた有楽町マルイのMEDULLA常設店
2021年6月にリニューアルされた有楽町マルイのMEDULLA常設店

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 Spartyが展開するパーソナライズシャンプーのD2Cブランド「MEDULLA(メデュラ)」は、オンライン上で完結するサービスだ。ECサイトで10の質問に回答すると、約3万通りの組み合わせの中から一人ひとりに適した成分を配合したシャンプーとリペアのセットを導き出す。月額7480円(税込み)の定期会員になると約1~2週間で自宅に商品が届き、使用後の感想をフィードバックすることで、翌月はより自分に合った処方にカスタマイズされたセットが送られてくる仕組みだ。

 シャンプー・リペアはドラッグストアなら高くても2000円台、多くは1000円以下で買える。それでも、自分好みにパーソナライズされる特別感が20代後半~30代女性の支持を集める。2020年1月時点の累計会員数は約8万人だったが、コロナ禍の中でも急成長を続け、21年5月には4倍以上の同35万人を突破した急成長ブランドだ。21年8月にはブランドリニューアルを予定しており、処方成分や香りが追加されることで約5万通りの組み合わせを実現するという。

 そんな急成長ブランドを擁するSpartyに対し、丸井グループは19年12月に出資し、資本業務提携を結んだ。これを受けて20年3月には、それまで有楽町マルイで展開していたMEDULLAの期間限定ポップアップ店を常設のフラッグシップ店舗として再オープンしている。

 MEDULLAの店舗はヘアカウンセリングの体験を重視した、いわば「売らない店」だ。専用の機械を使用して髪質と頭皮の状態を診断し、ヘアカウンセリングを行う。来店客は診断結果に基づき、その場でECサイトから定期購入サービスの申し込みが可能。もちろん、自宅に診断結果を持ち帰ってじっくり検討することもできる。

専用機器を使って髪質や頭皮の状態を調べる
専用機器を使って髪質や頭皮の状態を調べる

 コロナ禍ということもあって有楽町マルイでの月平均の診断者数は200人程度にとどまるが、「店舗でカウンセリングを受けた人の約8割が、その場で購入を決めている」(SpartyでMEDULLAを担当する上原涼子氏)という。この驚異的な購入率の理由は何か。

店舗では若い女性がスカルプケア商品を追加購入

 MEDULLAはD2Cブランドだけに当然、InstagramなどのSNSやECサイトを通じた、オンライン上のコミュニケーションにはたけている。しかし、髪質や頭皮のトラブルに悩む人や慣れない定期購入モデルに不安感を抱く人、5種類から選べる個性的な香りを実際に確認したい人は一定数存在する。そうした「ブランド認知済みの未購入者」が、来店客のメインを占めるのだ。そのため、店舗で丁寧なカウンセリングを受け、リアルな体験を伴ってブランドの理解が進むと、決断は早い。

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