
サード・パーティー・クッキーに依存したマーケティングからの脱却を目指し、マーケティングテクノロジーも進化する。ファースト・パーティー・データを活用するうえではCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)の使いこなしや他社とのデータ連係がカギを握る。それらの方針を打ち出したベンダーや、支援企業の専門家に聞く。
クッキー規制の影響を受けにくい「ファースト・パーティー・データ」をどのように収集・保有し、分析や施策に生かしていくのか。マーケティングテクノロジーを提供するベンダー側も対応策を打ち出し始めている。
その1社が米アドビである。2021年4月末の年次イベントに合わせて、クッキーレス時代に対応するファースト・パーティー・データ活用のCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)サービスを発表した。
CDPは顧客のプロファイルや行動のデータを蓄積して分析するためのプラットフォームサービスである。ファースト・パーティー・データなど自社が持つ顧客データを使い、人単位でデータを蓄積・管理するという特徴がある。(関連記事:顧客の真の姿は、CDPとDMPを組み合わせないと見えてこない)
CDPでは米トレジャーデータが最大手で、アドビは後発組と言える。CDPと似たサービスとしては、ビッグデータの蓄積・分析基盤であるDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)がある。DMPは、サード・パーティー・クッキーを含め、クッキーの収集をベースとしたデータ管理の仕組みを持つ。アドビは、これまでDMPのサービスを中心に販売してきたが、新サービスでは名称を「Real-time CDP」とした。脱クッキー時代を見据え、ユーザー企業が持つ自前の顧客データによりフォーカスする姿勢を示した。
これまではサイトを訪れた顧客に対して、後からサード・パーティー・クッキーでリターゲティングして商品やサービスを売り込めた。今後はその手が利用できなくなる。
米アドビのReal-time CDPの責任者である、Head of Product Marketing, Profile Servicesのライアン・フレイシュ氏は、「今回の製品は、ブランド企業などがサード・パーティー・クッキーを必要とせず、ファースト・パーティー・データの獲得からロイヤルティー獲得までのライフサイクルを確立し、管理するのに活用できる。我々が実施した共同調査では、クッキーレスの時代に対応する準備ができていると回答した企業は37%にとどまる。対応が必要な企業は今後、様々なことに取り組まなければならない」と説明する。
こうしたアドビの対応を見ることで、マーケティングテクノロジーにおけるファースト・パーティー・データ活用のポイントを知ることができる。
同一個人のデータを外部連係
ポイントは大きく3つあるが、1つ目は自社顧客の情報として保有する「ファースト・パーティー・データの拡張」について見ていこう。
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