大手ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)のバリューコマース(東京・千代田)は2021年3月末、サード・パーティー・クッキーのみによるアフィリエイト広告のトラッキングを終了した。また、アフィリエイト広告サービス「A8.net」を展開するファンコミュニケーションズも、9割の広告主がサード・パーティー・クッキーを使わない計測方法に移行しているという。こうした対策技術を持たないASPは計測が困難になり、淘汰が進みそうだ。

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(写真/Shutterstock)
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 「ユーザー保護の強化に賛同し、3rd Party Cookieのみを利用したトラッキングをおこなうプログラムについては段階的に廃止し、2021年3月末に終了する予定です」

 バリューコマースが21年3月下旬に、広告主およびアフィリエイト広告の掲載先であるメディア運営者に一斉に送信したメールに記載された一文だ。米グーグルが23年にWebブラウザー「Chrome」でサード・パーティー・クッキーの受け入れを停止することに先駆け、サード・パーティー・クッキーのみを使用したアフィリエイト広告計測のトラッキングを終了すると通達したのだ。この通達はバリューコマースがサード・パーティー・クッキーに依存しない計測手法を確立し、同社の顧客の広告主に一定程度は浸透したことを表している。あるアフィリエイト広告事業者は「競合ながら、思い切ったメッセージだった」と驚きの声を上げる。

 これはバリューコマースに限った話ではない。ファンコミュニケーションズ取締役の吉永敬氏は「A8.netの広告主の9割は、サード・パーティー・クッキーに依存しない計測方法に移行している」と明かす。アフィリエイト広告は、サード・パーティー・クッキー規制の影響を大きく受けると推測されていたが、大手ASPは既に脱クッキー対策がほぼ完了しているのが実態だ。そのため「Chromeでサード・パーティー・クッキーの受け入れが停止しても、理論上は影響が出ないはずだ」と吉永氏は説明する。

脱クッキーに先進的な背景に日本のスマホ事情

 ASPが他の広告技術会社よりも脱クッキー対策に先進的な背景には、日本特有のスマートフォン市場が関係している。アイルランドのWeb解析会社スタットカウンターのデータによれば、グローバルのスマホ向けOS(基本ソフト)市場では、グーグルの「Android」が72.8%の市場シェアを握る。対する米アップルの「iOS」は26.4%止まりだ。ところが日本ではこの比率が逆転する。日本でiOSが占める市場シェアは64.5%で、Androidは35.2%と傾向が真逆だ。

グローバルのスマホ向けOS(基本ソフト)市場では、米グーグルの「Android」が72.8%を占め、米アップルの「iOS」は26.4%止まり。一方、日本ではiOSが64.5%、Androidは35.2%と傾向が真逆だ(出典:StatCounter)
グローバルのスマホ向けOS(基本ソフト)市場では、米グーグルの「Android」が72.8%を占め、米アップルの「iOS」は26.4%止まり。一方、日本ではiOSが64.5%、Androidは35.2%と傾向が真逆だ(出典:StatCounter)

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