米アマゾン・ドット・コムをはじめ、ECの購買データを活用して潜在的な顧客層に広告を配信する取り組みが本格化している。国内では楽天グループも広告事業を強化する。ポイントでユーザーをひきつけ、脱クッキー後に変貌するネット広告業界でも楽天経済圏の拡大を目指す。

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「楽天市場」の画面例。検索欄に「洗剤」などとキーワードを入力すると、「PR」と書かれた商品が提示される
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 サード・パーティー・クッキーによるターゲティング広告は、これまでデジタルマーケティングの肝だった。ユーザーは行動を追跡されているという不信感を募らせ、プライバシー保護の観点からネット広告のあり方を見直す動きが進んでいる。こうしたなか注目されるのが、IDを持つプラットフォーマーだ。特に消費者の購買データを抱えるECの存在感が高まっている。

 楽天グループで広告事業を担当する紺野俊介執行役員は「CPA(顧客獲得単価)ベースの広告運用はクッキーに依存していた広告主が多く、再設計が求められる。脱クッキーはチャンスだ」と話す。

正規取扱店をメーカーが支援

 楽天は2017年に電通との共同出資会社、楽天データマーケティング(東京・世田谷)を設立して広告事業を本格化した。18年に広告関連のサービスを「Rakuten Marketing Platform(RMP)」のブランドに統一。さらに、20年9月には楽天市場に出店していないメーカーでも、楽天市場に出稿できる新たな広告商品「RMP-Sales Expansion」の提供を始めた。

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