ID経済圏に意外な企業が名乗り ツルハドラッグが広告事業参入(画像)

脱クッキー時代のマーケティングプラットフォームに、意外な企業が名乗りを上げた。ドラッグストアチェーンのツルハホールディングスだ。同社は広告技術開発ベンチャーの協力の下、「ツルハAD (アド) プラットフォーム」を開発。年間1200万人が買い物をするID-POS(販売時点情報管理)データを使った広告事業に参入した。取引先のメーカーを中心に営業し、既に億単位の広告売り上げを上げているという。さらに広告配信面の拡大に向け、1200店舗にデジタルサイネージを導入する計画だ。

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 サード・パーティー・クッキー規制の本格化によって、従来広がっていたデジタル広告の仕組みによるサイト横断データは取得しづらくなる。となれば、今後は個社ごとにデータ基盤を築く必要がある。そこで重要性が高まってくるのは、ファースト・パーティー・データだ。単にWebの利用履歴を記録したファースト・パーティー・クッキーだけでなく、サービスの利用情報を含むIDを軸としたデータ基盤の構築が重要になる。IDを軸としたデータ基盤の最大の強みは、デバイスを問わずデータを蓄積できる点にある。

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 というのも、クッキーは同じ顧客でもパソコンでアクセスした場合と、スマートフォンでアクセスした場合とで別人と判別されてしまうからだ。一方、会員IDでログインして利用するサービスであれば、データの分散化が起こりにくい。米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コムといった大手プラットフォーマーが提供するサービスは、原則的に会員IDでログインして利用する。だから強いデータ基盤が構築できている。

 これは広告主から見ても同様だ。強固な顧客データ基盤を築くには、現時点ではIDを軸とするのが最適解となるだろう。そのうえで、蓄積したデータをどう使うかが知恵の絞りどころになる。その活用先は何も自社のマーケティングにとどまらない。まったく新しい事業開発にも役立つ可能性を秘めている。

ツルハの広告事業の売り上げは既に億単位に

 それを実践しているのがドラッグストアチェーンのツルハだ。同社は2020年8月にIDにひも付く購買データを活用したツルハADプラットフォームを開始。デジタル広告という新しい事業を開発し、“外貨”を稼ぎ始めている。開始間もないツルハの広告事業だが、順調に広告主を獲得できている。食品、日用雑貨、美容品などさまざまなメーカーの配信実績をつくってきた。ツルハの決算月である21年5月末までに広告事業の目標売り上げを達成。億単位の売り上げとなっているという。

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