
米アップルは2021年4月末、広告ターゲティングに使われてきたスマートフォンなど端末を識別するIDのポリシー変更をついに実施した。IDFAと呼ばれる端末IDを広告配信に使うには、利用者の明確な承諾が必要となる。海外企業の調査では、その許諾率はわずか1~2割という衝撃の数値も見えてきた。
「プライバシーは基本的人権」――。
米国時間2021年6月7~11日にオンラインで開催したアップルの開発者会議「WWDC21」で、ソフトウエアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ氏はこう強調し、次から次へとプライバシー施策を繰り出した。
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アップルはこれまでもプライバシー重視の方針を打ち出していたが、20年のWWDC20から具体的な動きを加速している。WWDC20では、iPhoneなどのiOSに固有なIDであり、事実上の端末IDと言えるIDFA(Identifier for Advertisers)の提供について、ユーザーの許諾を基本とする方針を打ち出した。3カ月後の20年9月を見込むiOSのアップデートで導入するとしたが、急すぎると大きな反発を受けた。そして最終的に21年4月に導入した。
IDFAの情報はアプリの提供者が自社で利用する分には制限がない。ただしそのIDFAの情報を米フェイスブックなどのデジタル広告事業者が運用するデータベースと照合するといった、外部との情報連携の際には許諾が必要となった。利用者がどのような嗜好を持っているのかを知る手段が制限されたわけだ。
こうしてIDFAの情報を利用して行動をトラッキングすることで、その利用者のアプリに対して、他社からの広告を出して収益を得たり、自社のアプリを利用しそうな他の利用者にアプリの広告などを出したりしてより高いコンバージョンを得たりできる。
現時点の許諾率は1~2割
21年4月末に配信が始まったアップルの新OS「iOS 14.5」で、IDFAを利用する際のユーザーへの許諾の取得が本格的に始まった。5月3日に公開された14.5.1への更新後に求められるケースも多かった。
アプリの提供者がIDFAを他社と共有して分析するには、利用者の許諾を得ることが求められる。ポップアップが現れて明示的にボタンを押さなくてはならない。
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