アマゾンキラーとして取り上げられるカナダのショッピファイ。eコマースのサイト構築や運営のサービスを提供する同社は、規模は及ばないもののアマゾンを大きく越える成長率を達成している。eコマースの販売事業者がアマゾンではなくショッピファイを選ぶ理由はどこにあるのか。日本を含むアジア太平洋地域(APAC)の責任者に聞いた。

(出所/Shutterstock.com)
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 ネット販売で無敵とも思える米アマゾン・ドット・コム。独走状態の同社のバックミラーに、あるライバルの姿が見え始めた。

前回(第5回)はこちら

米国小売業のeコマース売上高とショッピファイの流通総額。折れ線は前年比の増減率。米eMarketerの調査に、ショッピファイの公開データを追加した(出所/eMarketer、ショッピファイ)
米国小売業のeコマース売上高とショッピファイの流通総額。折れ線は前年比の増減率。米eMarketerの調査に、ショッピファイの公開データを追加した(出所/eMarketer、ショッピファイ)
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 カナダのショッピファイである。契約する販売事業者の運営するECサイトでの取引金額である流通総額が前年比96%増とほぼ2倍となり、アマゾンに次ぐ規模に躍進した。アマゾンの売上高前年比15%増を大きくしのぐことから、「アマゾンキラー」と呼ばれることもある。

 ショッピファイの特徴は、販売事業者が自社のサイトを構築する点だ。アマゾンは販売事業者がアマゾンのサイト内に出品する形である。アマゾン自身の出品と並ぶ形で販売される。完全に異なるビジネスモデルである。ショッピファイは月額29ドルからと安価で利用できるのも特徴だ。

ショッピファイの料金体系(出所/ショッピファイのサイト)
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 また、サイトの構築だけでなく、eコマースに必要な決済や在庫管理、データ分析やソーシャルメディアを利用したマーケティングまで様々な機能を用意している。もちろんプログラミングすることなくサイトを構築できる。

 ショッピファイの2020年12月通期の売上高は前期比86%増の29億2949万ドル(約3200億円)、営業利益は9015万ドル(約100億円)と前期の赤字から黒字化している。

 ショッピファイがアマゾンをしのぐ成長率を達成した理由はどこにあるのか。販売事業者は何を求めているのか。日本を含むアジア太平洋地域を担当する、APAC地域統括マネージングディレクターのショーン・ブロートン氏に聞いた。

ショッピファイ APAC地域統括マネージングディレクターのショーン・ブロートン氏(写真提供/ショッピファイ)
ショッピファイ APAC地域統括マネージングディレクターのショーン・ブロートン氏(写真提供/ショッピファイ)
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我々は販売事業者とは競争しない

――ショッピファイは「アマゾンキラー」として取り上げられることがある。アマゾンを競合として意識しているか。

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