
開催直前に一転、無観客開催が決まり、開会式で楽曲の作曲を担当したミュージシャンが過去の不祥事で降板するなど、トラブルが続く東京オリンピック(五輪)・パラリンピック。公式スポンサー企業勤務のマーケターは、今大会に参画したプラス面・マイナス面をどう見ているのか。今後のグローバルスポーツイベントでスポンサー企業に手を挙げたいと思っているのか。本音を聞いた。
異例の無観客開催で幕を開けた東京オリンピック(五輪)・パラリンピック。日経クロストレンドは開催直前の2021年7月13~14日に、全国20~50代のマーケター400人に緊急アンケートを実施。うち東京五輪・パラリンピックの公式スポンサー企業勤務者であると答えた58人に、「公式スポンサーになったことは自社にとってプラスだったと思うか」、率直に聞いてみた。
【第2回】 マーケターが選んだ「五輪が無観客になって潤う業界」ランキング
【第3回】 「宣伝しづらくなった」76% スポンサー受難、奔走の五輪に
【第4回】 コロナ後も東京五輪スタイルが定着? スポンサー継続したい理由 ←今回はココ
最も多かったのは「プラスとマイナスでトントン」の41%で、次いで「マイナスが多かった」の36%。「プラスが多かった」は21%にとどまった。通常開催であれば恐らく「プラスが多かった」と大半が答えるであろうこの設問。開会10日前に実施したアンケート故、もちろん総括はこれからだが、無観客開催が決定した直後の調査タイミングだったこともあり、ネガティブな回答が優勢だった。
次の質問は、今後のスポンサー活動の変化について。東京五輪・パラリンピックでは新型コロナウイルスの感染拡大によって、スポンサー企業のイベントや販促活動に大きな制約が出たが、今後、五輪やサッカーW杯のようなグローバルスポーツイベントにおけるスポンサー活動は変化するだろうか――。コロナ禍の今大会のように制約されたスタイルが続くのか。あるいはコロナがある程度収束に向かえば元の活動スタイルに戻るのか。
選択肢は、「コロナ完全終息宣言が出た後も、コロナ禍でも可能な活動スタイルが続く」「コロナ完全終息宣言が出た後は、元の活動スタイルに戻る」「コロナ禍でも有観客開催が可能なレベルなら元の活動スタイルに戻る」の3つ。公式スポンサー企業勤務のマーケターと非スポンサー企業勤務のマーケターに分けて集計した。
公式スポンサー企業勤務者、非スポンサー企業勤務者ともに「コロナ完全終息宣言が出た後も、コロナ禍でも可能な活動スタイルが続く」が多数派だった。コロナが去っても、かつてのようなお祭り的な活動は難しいと多くのマーケターが考えていることが分かる。非スポンサー企業勤務者の44.4%がこの選択肢を選んだのに対し、公式スポンサー企業勤務者は66%が選択しており、より厳しい見方をしている。
「コロナ完全終息宣言が出た後は、元の活動スタイルに戻る」は非スポンサー企業勤務者の36%に対し、スポンサー企業勤務者は22%。「コロナ禍でも有観客開催が可能なレベルなら元の活動スタイルに戻る」は非スポンサー企業勤務者の19.3%に対し、スポンサー企業勤務者は12%と少数派だった。スポンサー活動の軌道修正は今大会だけでなく、コロナ禍でも実施可能なスタイルが当分の間は主流になるというのが大方のマーケターの見通しである。
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