
一転して無観客開催となった東京オリンピック(五輪)・パラリンピックについて、マーケター400人に聞いた緊急調査の第2回。無観客開催でも公式スポンサー企業に経済効果はあるのか、スポンサーのメリットを得やすい業種はどこか、逆に無観客開催になったことで潤う業界はあるのか、調査結果から探っていく。
前回(第1回:マーケター400人に五輪調査 「開催で企業イメージ悪化」が4割)は、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開催の是非や開催形態、開催のプラス要因とマイナス要因などについて、五輪公式スポンサー企業のマーケターと非スポンサー企業のマーケターに分けて集計、分析。公式スポンサー企業のマーケターの4割が、「大会イメージ、スポンサー企業イメージの悪化」を不安視していることが分かった。
第2回は、コロナ禍の五輪開催で勤務先企業に経済効果はあるのか、経済効果がありそうな業種はどこか、公式スポンサーになるメリットが高いのはどの業種か、マーケター400人アンケートの結果から明らかにしていく。
まず、コロナ禍の開催となった東京五輪・パラリンピックに経済効果は期待できるのか。勤務先企業に売り上げ増などの経済効果が見込めるかどうかを聞いた。
こちらも五輪公式スポンサー企業のマーケターと非スポンサー企業のマーケターに分けて集計したところ、回答に大きな差が出た。無観客開催でも経済効果は「ある」を選んだ割合は、公式スポンサー企業のマーケターで48%と半数近くを占めた。公式スポンサー企業は、無観客になったことで、観戦チケットプレゼントや会場周辺で予定していた物販などの企画が“お蔵入り”になっている。それでもテレビCM放映や、エンブレムが入った限定商品を小売店を通じて販売するなど、無観客でも実施する企画やイベントを基にそろばんをはじいているようだ。
一方、非スポンサー企業のマーケターで最も多い回答は「どんな形で開催しても経済効果は『ない』」(37.1%)だった。公式スポンサーではない企業は、五輪ロゴを用いるのはもちろんのこと、応援キャンペーンなど五輪に便乗した企画を仕掛けるのは“ご法度”だ。五輪にあやかれない以上は経済効果もないということだろう。一方で、客数制限も含めて有観客で開催されるならば「ある」という回答も17.6%あった。公式スポンサー企業ではなくても、例えば有観客開催で競技会場近くに自社店舗があれば、人通りの増加から来客増を見込める。有観客ならこうした“棚ぼた”的な恩恵を受けられる企業もある。そして、無観客開催でも経済効果が「ある」を選んだ割合は12.3%にとどまった。日本人選手のメダルラッシュで気分が高揚すれば、通常は財布のひもが緩む要因になるのだが、コロナ禍ではなかなか期待しづらいところがある。
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