
東京オリンピック・パラリンピックの無観客開催が決定。マーケターにとって、オリンピックのようなグローバルスポーツイベントはステータスのある仕事だったが、受難の大会になった。五輪の経済効果は期待できるのか、スポンサーのあり方は変わるのか、全国20~50代のマーケター400人に緊急調査した。
2021年7月23日に開会式を迎える東京オリンピック(五輪)は、客数の上限を設定した有観客開催から一転、大半の競技が無観客開催になった。7月12日から8月22日まで、東京都が4回目の緊急事態宣言に入ったことを受け、1都3県の無観客開催が決定。これに北海道、福島県も追随し、11年の東日本大震災からの「復興五輪」という位置づけ、意義も薄れることになった。
五輪の公式スポンサー企業以外はオリンピックを宣伝に利用することはできないものの、オリンピックがもたらす経済効果には多くの企業、消費者が期待をかけていた。それが大きく後退したことは間違いない。コロナ禍の五輪無観客開催について、企業のマーケターはどう見ているのか。日経クロストレンドは、全国20~50代のマーケティング従事者400人(各年代100人ずつ、男女半々)にアンケートを実施(調査日は21年7月13~14日)。開催の賛否、メリット・デメリットから、公式スポンサー企業が受けるであろう影響などについても聞いた。
まず、回答してくれたマーケター400人の中に、東京五輪・パラリンピックの公式スポンサー企業に勤務している人はどれくらいいるのか尋ねたところ、58人、率にして14.5%が該当した。IOC(国際オリンピック委員会)と直接契約するワールドワイドオリンピックパートナー14社、開催国の組織委員会と契約するゴールドパートナー15社、同オフィシャルパートナー32社、同オフィシャルサポーター20社の計81社をここでは公式スポンサーと総称する。
アンケート実施日の直前に大半の会場で無観客開催が決まったが、マーケター個人として、開催の是非や望ましい開催形態についてどう考えているのか。公式スポンサー企業勤務のマーケターと、非スポンサー企業勤務のマーケターに分けて集計してみた。
選択肢は、「通常通りに開催」「客数制限をして開催(パブリックビューイングあり)」「同(パブリックビューイングなし)」「無観客で開催」「再延期」「中止」の6択(以下、パブリックビューイングはPVと表記)。公式スポンサー企業勤務のマーケターは、無観客開催に決まる直前の開催形態である「客数制限をして開催(PVなし)」が26%と最も多く、以下、「無観客」19%、「再延期」17%と続く。「通常通り」も12%いた。
一方、非スポンサー企業勤務のマーケターの見方は厳しい。最も多かったのは「中止」で29.8%。次いで「無観客で開催」22.8%、「再延期」18.4%と続く。「通常通り」は5%にも満たなかった。
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