トマトの会社から野菜の会社に――。創業120年を超える老舗メーカーのカゴメが今、変革を加速させている。事業拡大の鍵として力を入れるのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)だ。若手マーケターがDXに関する疑問をぶつける連載。今回は、カゴメ取締役専務執行役員の渡辺美衡氏が答える。
●老舗企業でDXを推進するのは簡単ではないのではないか。どうやって人を巻き込んでいったのか。
●トップダウンとボトムアップ、DXを全社に浸透させていくためには、どちらが重要か。
本連載では、日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構の若手マーケターが集まる「U35プロジェクト」のメンバーがインタビュアーとなり、現場から感じるDXへの疑問や課題を注目企業の経営陣に直接ぶつけていく。
第7回は、トマトケチャップや野菜飲料で国内シェアトップを誇るカゴメ。2019年から本格的にDX推進を加速させている。そのDX戦略のけん引役である、カゴメ取締役専務執行役員 渡辺美衡氏に、パーソルキャリア(東京・千代田)の若手マーケター、小山貴弘氏が迫った。
カゴメ取締役専務執行役員
1958年生まれ。82年日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行、サーベラスジャパンや産業再生機構を経て、2007年にカゴメ入社。09年に経営企画本部長に就任、16年から現職
デジタルの民主化で働き方、仕事の仕方を変える
小山貴弘氏(以下、小山) カゴメでは、中期経営計画の中で明確にビジョンを掲げ、それにひも付く形で4つのアクションを示されています。その中で、DXは、単なる効率化ではなく、ビジョンを達成するための手段という位置付けになっています。まず、カゴメのDX、あるいはデジタル化をどう捉えているのか、教えてください。
渡辺美衡氏(以下、渡辺) カゴメでは、16年から「モード1」として基幹システムの刷新を行ってきました。スパゲティみたいに分かれ絡まり合った基幹システムをどれだけシンプルにし、業務効率を改善していくかに注力しました。裏側の仕組みの刷新は極めて重要です。ただ、この部分のDXはやるのが当たり前で、もはや企業の競争力の源泉にはなりません。
企業の競争力は、従業員が頭を動かして、いかにクリエイティブな仕事をするか、そのために一人ひとりの仕事をいかに合理化していくかにかかっています。従業員に楽しく生き生きと仕事をできる方法を見つけてもらいたい、そのためのツールとして使えるDX、それがカゴメで進めたいDXです。
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