DXが進まない要因は何か。元P&Gで現在は吉野家の常務を務めるマーケターの伊藤正明氏は、中間層のマネジメントやKPI(重要業績評価指標)設定を課題として上げる。若手マーケターがDX時代の企業戦略やマーケティング、組織、人材を注目企業の経営層に聞く新連載の第4回は、伊東氏へのインタビューの後編。DX推進に関し、現場と経営層でなぜすれ違うのか、その理由を直撃する。
「カネ、人、社内規定」を勝手に突破不可能な壁と思い込まずに、新しいことを考え、提案し続けることが大事。前回の記事では、吉野家常務の伊東正明氏に同社のDX(デジタルトランスフォーメーション)の要諦やDXの注意点を聞いた。後編は引き続き、伊東氏にDX推進を阻害する要素やそれを打破する方策を聞いていく。
現場のデジタル化を知らない層を説得するには何をすべきか
廣澤 祐氏(以下、廣澤) DX推進部などをつくっても、デジタルツールを入れることが目的になってしまうという話が(前編の記事で)出ました。また、カネや人、社内規約のせいで現場が諦めてしまっているケースもあるというのも納得できます。そういった課題から、経営者や経営幹部が意識すべきことはありますか?
伊東正明氏(以下、伊東) 難しいですね。まず経営者は何も考えていないというわけではない前提でお話しします。経営者は、DX推進部をつくることによって引き起こされる問題を想定済みのはずです。でも、そういう組織をつくって進めている企業が多い。どうしてだか分かりますか?
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