カネがないから、人がいないから、会社の規定があるから……。こんな理由でDX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとした変革を諦めてはいないか。若手マーケターがDX時代のマーケティングや組織、人材を注目企業の経営層に直撃する連載の第3回は、元P&Gで現在は吉野家常務を務める伊東正明氏。社内変革を加速させる方法を聞いた。
●DXを意識した組織づくり、文化づくり、個人の考え方はどのようなものか。
●若手マーケターがDX時代に心がけるべきことは何か。
本連載では、日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構の若手マーケターが集まる「U35プロジェクト」のメンバーがインタビュアーとなり、現場から感じるDXへの疑問や課題を注目企業の経営陣に直接ぶつけていく。
第3回は、P&Gでブランド再生やマーケティング責任者などを歴任し、現在は吉野家常務を務める伊東正明氏に、花王DX戦略推進センターDXデザイン部戦略企画室の廣澤祐氏(28歳)が迫る。
吉野家常務取締役
1996年にP&G入社。ブランドマネージャーとして「ジョイ」「アリエール」のブランドを再建するなど、国内外で活躍。シンガポールでペットケア事業責任者、アジアパシフィック・Eビジネス事業責任者、ホームケア・オーラルケアヴァイスプレジデントなども歴任。2017年11月退職・独立。18年1月に戦略担当顧問として吉野家に招かれ、10月より同社の常務に
DXは魔法の言葉ではなく、ただの業務改革
廣澤 祐氏(以下、廣澤) 今、いろいろな産業でDXやデジタル化を目指す動きが加速していますが、伊東さんあるいは吉野家ではデジタル化やDXをどう捉えていますか。
伊東正明氏(以下、伊東) はやり言葉には“ホラーストーリー”が多いんですよ。「やらないと怖いことがあるよ」と脅されて、やることが目的化してしまうことがあります。だけど僕にとって、DXは業務改革とマーケティングの新しいアプローチの2つだと思っています。
1つは実際の業務のやり方を効率化する、一般的にいわれるデジタルトランスフォーメーション。もう1つは、マーケティングの観点で過去にはできなかったことができるようになるという意味でのトランスフォーメーションです。
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