
毎日違うネイルを楽しみたいという若者をターゲットにしたセルフネイルケア商品「ネイルホリック」シリーズを展開するコーセー。同社はアンバサダーを起用したUGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ=ユーザー生成コンテンツ)活用に力を入れる。6人のアンバサダーを通じてUGCを生み出し、それを自社アカウントにも転載することで、多角的に商品情報を伝える。それがマニキュア市場で売上金額1位という成果に貢献している。
「ネイルホリックのSNSアカウント運用において、アンバサダーはなくてはならない存在だ」。コーセー宣伝部宣伝企画課の小林祐樹課長はそう言い切る。小林氏が絶対の信頼を寄せるアンバサダーの威力とはいかほどか。同社の活用術を紹介する前に、UGC活用に至った経緯から順を追って説明しよう。
ネイルホリックシリーズの公式Webサイトに掲げられたコンセプトにはこうある。「ネイル好きの血が騒ぎだす198種類が、ずらり。カラーはもちろん、質感やアートで楽しみ方は無限に広がる。ネイル中毒になる覚悟は、OK?(中毒…holic)」。毎日違ったネイルを楽しみたいようなファッション感度の高い層を対象に開発されたブランドであることが、3桁を超える多色展開からも伝わってくる。
【第2回】 ヤッホー流UGC活用術 “載せる写真を変えるだけ”でCVRが16%増
【第3回】 コーセーのUGC戦略 売上金額1位に貢献した独自のKPIとは? ←今回はココ
そうした多くの種類を使用することになる商品の特性上、小さく購入しやすい価格帯での展開になってくる。レギュラー商品「ネイルホリックClassic color」(税込み330円)、数量限定商品「同リミテッドカラー」(同396円)、数量限定商品を含めた4商品をセットにした「同リミテッドコレクション」(同1012円)といった顔ぶれだ。
1個当たりの価格が低く、利益率が低い商材のため、1人当たりの購入個数を増やし顧客単価を上げていかなければ収益を得づらい、いわば薄利多売の商品だ。それ故、テレビCMを中心としたマス広告を打つほどの広告予算はかけられなかった。そこで着目したのが、SNSの活用だ。特に力を入れるプラットフォームはInstagramだ。ハッシュタグ「#ネイル」で検索すれば、2382万件もの写真が投稿されている。ネイルの写真をInstagramに投稿するのは若年層の女性にとって日常的。ネイルホリックとの相性も良い。
だが、企業だけでSNSアカウントを運用することに小林氏は課題を感じていた。投稿するコンテンツが商品情報や、SNS担当者の指でネイルを試したものなど、内容が限られてくるからだ。そこでUGCに着目した。「顧客にSNSアカウントの運用に参加してもらうことで、企業発のクリエーティブの発想を超えるコンテンツの発案が期待できる。さらに、消費者目線の投稿によって、よりブランドに愛着を持ってもらえるのではないかと考えた」(小林氏)
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