
UGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ=ユーザー生成コンテンツ)を活用することで、ECサイトの売り上げを高める。そんな取り組みに注力するのがクラフトビールメーカーのヤッホーブルーイング(以下、ヤッホー)(長野県軽井沢町)だ。ヤッホーはキャンペーンを通じて、よりブランドの世界観に合ったUGCの創出に力を入れてきた。商品の魅力が伝わるUGCを増やし、それをECサイトに載せることで購入を後押しする。
風になびく麦畑と夜に浮かぶ月のイラストをあしらった「よなよなエール」、ダークネイビーの青鬼が目を引く「インドの青鬼」――。
個性的なパッケージや商品名が特徴のビールや発泡酒などを数多く生み出してきたことで知られるヤッホー。同社は2020年12月からUGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ=ユーザー生成コンテンツ)をネット通販での販促活動に活用し始めた。Instagram上に顧客が投稿した商品写真を、許諾を得た上で自社サイトにも掲載して、サイト訪問者の購入を後押しする取り組みだ。
UGCは、ヤッホーが展開する定期宅配サービス「ひらけ!よなよな月の生活」の販売促進に活用している。月の生活は、よなよなエール、インドの青鬼、発泡酒の「水曜日のネコ」といった定番の6種類の商品に加え、毎月限定醸造する2~3種類の製品を1本単位で自由に組み合わせて、定期的に顧客の自宅に届けるサービス。プランは3つある。まず、毎月24缶が届く月額6450円(税込み)のスタンダードなプラン。次に毎月48缶が届く、月額1万2306円(同)のヤッホー愛好家向けプラン。最後に2カ月ごとに24缶が届く低頻度のプランで、こちらは料金が2カ月ごとに6620円(同)となる。
UGC活用以前、ヤッホーのマーケティング施策は定期宅配サービスの会員の増加策も含め、自社制作コンテンツの充実が主な取り組みだった。商品の公式Webサイト「よなよなの里」には、クラフトビールの種類を解説したものやクラフトビールに合う料理のレシピなど、クラフトビールの楽しみ方を紹介するコーナー「よみもの」を開設。よみものは社内で編集部を立ち上げて制作しているオウンドメディアという位置付けだ。
自社制作コンテンツだけでは限界
月の生活のページでも、サービスの魅力を会員に語ってもらうインタビューや、商品の楽しみ方を紹介したコンテンツを制作して掲載してきた。しかし、通販事業を担当する桂馬拓也氏は、自社制作のコンテンツだけを活用したマーケティング施策に課題を感じていた。「顧客にインタビューした記事で、商品を楽しんでいる様子を偽りなく伝えようとしてきたものの、やはり企業発信のメッセージ色を払拭しきれないことはずっと気になっていた」(桂馬氏)
そこで、着目したのがUGCだ。SNSの普及によって、消費者間同士の情報共有がしやすくなった。これが消費行動に大きな影響を及ぼしている。商品選びにおいて、企業の一方的な広告だけでなく、消費者の評価、すなわち口コミ重視の消費行動へと変わっているといわれる。桂馬氏は、「UGCには、顧客が商品を楽しんでいる生の様子をリアルに伝えられることに大きな可能性があると考えた」と説明する。
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