ペットボトルなどの空き容器を回収するリサイクルボックスが新しくなり、順次新タイプへの入れ替わりが進んでいる。色をグレーからオレンジ色に変更して、空容器の投入口を下向きにした。異物混入防止につなげるための実証実験などを経て開発された新リサイクルボックス。“脱ゴミ箱”を目指した背景などを取材した。
街なかの自動販売機横にある樹脂製ボックスの設置目的をご存じだろうか。正式名称を「自動販売機横リサイクルボックス」といい、飲み終えた飲料の瓶や缶、ペットボトルなどの空容器を、リサイクルを目的に回収するためのもの。街のゴミ箱ではない。
清涼飲料業界の業界団体である全国清涼飲料連合会(以下、全清飲)は、既存のリサイクルボックス(以下、既存型RB)の“街のゴミ箱化”に頭を悩ませていた。そこで、自動販売機業界が組織する日本自動販売協会と新機能リサイクルボックス(以下、新機能RB)を共同開発。投入口を下向きにし、色も“脱ゴミ箱カラー”のオレンジに変えた。2022年秋から順次、繁華街などの異物の混入が多い場所を優先して置き換えを進めている。
22年10月からは、新たに環境省と日本自動販売協会が、自動販売機のオペレーター事業者、東京都調布市、川崎市と連携し、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)に対応した、リサイクルボックスへの効果的な異物混入防止に関する実証実験も、新機能RBを活用しながら行っている。
「20年に行った意識調査では、42%がゴミ箱だと思い、53%はゴミがあったらリサイクルボックスに捨てると回答。これは業界として衝撃的な結果で、早急に策を講じなければと、新機能RBの開発に乗り出しました。既存型RBは各メーカーさんが独自の考え方で、色もグレーやブルーといった自販機より目立たない色が好まれてきました。業界統一仕様は初の試みかつ画期的なことで、ボックスの色ひとつとってもさまざまな意見が出されました。最終的に、“脱ゴミ箱カラー”を目指し、『SDGs(持続可能な開発目標)』の目標11“住み続けられるまちづくりを”のテーマカラーでもあるオレンジでいこうと業界で決定しました」(全清飲推進部広報担当・稲野結子氏)
前述の意識調査を受け、速やかに開発グループを立ち上げ、試作機を作製しながら実証実験を重ねた。特に混入率が高い都市部の例として東京都渋谷区を皮切りに、中核都市の浜松市や地方都市の愛知県岡崎市でも実施。21年10月から約1カ月間実証実験を実施した広島市では、42%あった異物が25%まで低減した。さらに22年には、追加の実証実験を神奈川県南足柄市で実施した。人口5万人未満の地方都市との比較を見るためだ。いずれのケースも低減効果が確認されたという。その間、月1回程度のミーティングを開き、形状や色などをアップデートしていった。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー