NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)市場拡大に向け、国内大手が運営するマーケットでコンテンツ展開が加速している。2022年4月にスタートした「LINE NFT」は、エンターテインメント、スポーツ、ゲームなど7ジャンルのNFTの販売を始めたほか、販促キャンペーンでのNFT活用も進む。LINEがβ版を開始した21年6月から数えるとちょうど1年。今、マーケットプレイスではどんなコンテンツが売れているのか、市場拡大への課題は何か。LINE Xenesis(東京・品川)の上遠野大輔ブロックチェーン事業部長とLINE NFTプロジェクトマネージャーの栗原俊幸氏に聞いた。

LINE NFTでは約6万点のNFTを扱っている
LINE NFTでは約7万点のNFTを扱っている

――2021年6月から始めた「NFTマーケットβ」から22年4月に「LINE NFT」を開始しました。NFTマーケットの状況はいかがですか?

上遠野大輔氏(以下、上遠野) コアなファンを持っているコンテンツが売れますね。何を出しても売れるというわけではないのですが、ファンがいることが購入につながります。

 これまでNFTに触れたことがないユーザーさんも購入いただいています。海外のマーケットプレイスなどでは購入するためにまず売買をするためのウォレットをつくるという過程が大変なのですが、「LINE NFT」ではLINEのIDで一元管理できるので、これまでより簡単にNFTを購入できます。販売しているNFTは、22年6月16日時点で約7万点(1次販売、かつ既に販売を終了したNFTも含む)です。

――よく売れているものは具体的にどのようなものなのですか?

栗原俊幸氏(以下、栗原) 先日5大ドームツアーを発表したアーティストのNissy(西島隆弘)さんのNFTは人気ですね。新曲のミュージックビデオとか、アートワークに関連するものです。例えば、ミュージックビデオに登場するチケットをNFT化して販売しました。チケットには、Nissy Entertainment(Nissyさんがつくるエンターテインメントのこと)と書いてあるんです。各2400円で、全10種類を240個ずつの限定で販売しましたのですが、計2400個が1日待たずして売れたんですよね。

ミュージックビデオに登場するチケットをNFT化したNissy
ミュージックビデオに登場するチケットをNFT化したNissy

 TM NETWORKのNFTも人気でした。7月末より始まるライブツアーのオープニング曲になるという新曲と、メンバー3人(小室哲哉さん、宇都宮隆さん、木根尚登さん)からのメッセージが搭載された4分程の動画です。ファンにとってはすごく希少価値の高いNFTだったので、販売前から結構話題になっていました。3種類あって、1つ3000円で各1000個。販売直後でもう、1つの商品がすぐ売り切れてしまうほど反響がありました。

LINE NFTプロジェクトマネージャーの栗原俊幸氏
LINE NFTプロジェクトマネージャーの栗原俊幸氏
TM NETWORKのNFTは、販売前からファンの話題に
TM NETWORKのNFTは、販売前からファンの話題に

上遠野 300円程度の低額のNFTも売れています。海外のNFTプラットフォームだと、ガス代と言われる手数料が高くて、低単価のものは販売にそぐわないのですが、LINEの場合は独自のブロックチェーンを使っているのでこうした手数料が発生しないので低額でも販売しやすくなっています。

 LINEスタンプの企業版というわけではありませんが、静止画、動画を入稿すれば簡単にNFTとして販売できるという仕組みもつくりました。LINE NFTでは、買う人も売る人も簡単な仕組みがつくれたと思っています。商談を含めると100社以上の企業がNFTを販売する準備を進めているところです。

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