AI(人工知能)開発のニューラルポケットが、マンション居住者向けAIサイネージ広告に注力している。2021年11月、高級マンション向けにサイネージ広告を展開していたフォーカスチャネルを買収し子会社化した。現在、導入されているマンションは約250棟だが、これを22年中に2000棟まで拡大する計画だ。広告業界最後のブルーオーシャンといわれるサイネージ広告において、AIをどのように活用しようとしているのだろうか。その狙いを聞いた。
画像や動画解析のAI技術を中心とした事業を展開するニューラルポケット。これまでも自治体やデベロッパーと組み、スマートシティーソリューションなどを提供してきた。その中で、注目したのがマンション居住者向けのデジタルサイネージ広告だ。
もともと、ニューラルポケットは、独自のAIサイネージ端末を開発してきており、その筐体(きょうたい)とソリューションを店舗や施設に販売していた。今回のマンション向けでは、サイネージをメディアとして運営し、その広告費で収益を上げるビジネスモデルに転換する。
2021年11月、同社は、高級マンション向けにサイネージ広告を展開していたフォーカスチャネルを買収し子会社化した。買収した時点で、フォーカスチャネルが導入していたマンションはおよそ200棟。その後、数カ月で50棟増やし、22年1月現在で250棟への導入を完了している。主に都心5区を中心に設置しており、総戸数は約5万世帯、12万人にリーチする。
「これを22年中に2000棟まで拡大する計画だ。これまでは大型の高級マンションに設置し、富裕層にリーチできるメディアとしてアピールしてきたが、今後は、マス向けの広告も取り扱えるようになる」とフォーカスチャネルCEO(最高経営責任者)でニューラルポケット取締役COO (最高執行責任者)の周涵氏は語る。
マンションの誰もが通る場所に設置されたサイネージには、広告だけでなく、エレベーターの点検時期やマンション規則の注意喚起、ニュースや天気など、生活に根差した情報も流す。そのため、マンションの管理人や住人にとっても利便性が高まり、広告も受け入れられやすいという。また、オフィスと違い、コロナ禍においても流動人数が減らないこともメリットとして挙げられる。
「居住者への情報は、弊社で開発したCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)で、管理人が簡単に配信できる。紙に印刷する必要がなくなり環境への負荷も軽減されるだろう。これらはすべて無料で、むしろ、弊社側が電気代を支払う形で導入いただいている」と同社シニアマネージャーの白井僚氏は説明する。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー