エンターテインメントテクノロジーのTHECOO(ザクー)が21年末、東京証券取引所マザーズ市場に上場した。新型コロナウイルス禍の2020年にコミュニケーションプラットフォームの「Fanicon」(ファニコン)が急成長、アーティストなどがライブ配信をするための専用スタジオも開設して、事業拡大を続けている。CEO(最高経営責任者)の平良真人氏は、グーグルの出身でもあり、運用型広告からスタートした同社。コロナ禍で非接触の交流ができるサービスの存在感は高まり、コミュニティーの数は2100にまで拡大した。成長をけん引したのは、事業に関わる人員の半分弱を占めるカスタマーサクセスチームだと言う。
──2021年12月22日、東京証券取引所マザーズ市場に上場しましたね。
平良真人CEO(以下、平良) THECOOの創業は2014年。16年の頭に1回目の出資を受けたのですが、そのタイミングから上場しようと決めて準備をしてきました。公開企業になるに当たって、投資家の方や社会に対してきちっと信用を得られるだけの社内の管理体制をつくるのに苦労してきました。普通の審査のプロセスで、必要なことも含めて上場準備は四苦八苦でした。
THECOOは大きく2つの事業を展開しています。運用型広告やインフルエンサーマーケティングの法人セールス事業とエンターテインメントのコミュニケーションプラットフォームの「Fanicon」(ファニコン)と2事業を中心に展開しています。
──コミュニケーションプラットフォームの「Fanicon」の利用者が急拡大していますね。
平良 Faniconは、新型コロナウイルス感染症が拡大した20年以降、大きく成長しました。19年度3億3500万円だった売り上げは20年度は約3倍の11億円まで伸びました。21年も第3四半期までに13億4600万円を売り上げました。
Faniconは、アーティストなどアイコンと呼んでいるオーナーとファンとがコミュニケーションできるプラットフォームです。AAAの宇野実彩子さん、ACIDMANの大木伸夫さん、女優の武田玲奈さん、お笑い芸人の安藤なつさんなど、約2100のコミュニティーが運営されています。アーティストが一番多いのですが、次に俳優、女優さんというカテゴリーが多いですね。
ファン数が多い場合はライブ配信を中心に交流したり、タイムラインでコミュニティーをつくったりしている人もいます。一方でファン数が1000人程度であればグループチャットを楽しんでいる人もいます。様々な機能があるので、ファンとの距離感やどういうコミュニティーにしたいかの要望に合わせて、取捨選択して使ってもらっています。公園をただ散歩しているのを写しているという動画もあったりするんですよ。皆さんコメントをつけて楽しんでいます。
例えば、宇野実彩子さんはファンクラブが別にあるのですが、プラスアルファでコミュニティーをやっていらっしゃいます。オンラインサロンに近いとご本人はおっしゃっていますね。Faniconはチケットとかグッズを売れる機能もあります。自分がやりたいことに合わせて、機能を取捨選択できるのが特徴なんです。我々のカスタマーサクセスチーム(CS)がきちっとヒアリングした上で提案をして、コミュニティーを盛り上げていくということをやっていますね。
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