ポータルサイト運営などのエキサイト(東京・港)が、サブスクリプション型のマウスピース矯正サービス「エミニナル矯正(EMININAL)」を2021年9月21日に開始した。マウスピース矯正は、透明なマウスピースをはめることで歯を動かす手法で、近年若者に人気を博している。メディアを中心に事業を展開している同社が、なぜ矯正歯科事業に乗り出したのか。

 エミニナル矯正は、初月2万2000円(税込み)、2カ月目以降は月4万9500円(税込み)で治療を受けられるマウスピース矯正だ。ユーザーはまず、同サービスの公式LINEで初回診断(歯型分析)を申し込み、提携クリニックに来院して歯型の採取やレントゲン撮影を行う。その歯型をもとに、“矯正歯科医”(矯正治療を専門とした歯科医師)と呼ばれる矯正のプロが患者とスマホ上でオンライン診断を実施する。マウスピース矯正が適応しているか、適応であれば何カ月の治療期間になるか、どういう仕上がりになるのかを判断するためだ。

 治療を受ける場合は、定期購入プランは毎月、一括購入プランは4カ月ごとにマウスピースが自宅に配送される。担当医師に口腔(こうくう)内写真を送ることで経過観察をしながら、約3カ月ごとに行う歯型採取の結果から治療進捗の確認をする仕組みだ。

エミニナル矯正は初月2万2000円(税込み)、2カ月目以降は4万9500円(税込み)でマウスピース矯正の治療を受けられる
エミニナル矯正は初月2万2000円(税込み)、2カ月目以降は4万9500円(税込み)でマウスピース矯正の治療を受けられる

 歯の状態によるそうだが、最初に提携クリニックで歯型を採取してしまえば、その後の診断やお悩み相談などは全てオンライン上で完結するため、通院の必要がない。また、治療費の総額はユーザーの治療期間によって異なるが軽中度の患者の場合は3~10カ月で13万~47万円(税込み)ほどで治療が完了する。

新規事業開発のカギは?

 エキサイトは、ポータルサイトの「エキサイト」や「エキサイトニュース」、「ウーマンエキサイト」、天気、翻訳などのメディアサービス事業を主軸に事業を展開してきた企業だ。その同社がなぜ、矯正歯科事業に参入したのか。そのきっかけとして、同社メディア・プラットフォーム事業部 D2C部 新規事業開発グループ EMININAL プロダクト/ブランディング担当の奥野あい氏は、「企業体制の変革」を挙げる。

 エキサイトは1997年に設立、2002年に伊藤忠商事の子会社となった。その後18年にインターネット関連企業のXTech(東京・中央)の子会社となり、XTechの西條晋一CEO(最高経営責任者)が新社長となるなど、経営体制が一新。これまで続いていた赤字を解消し、再上場を目指すため、既存事業にひもづいた新規事業を積極的に開拓しようという経営方針の転換があったという。

エキサイト メディア・プラットフォーム事業部 D2C部 新規事業開発グループ EMININAL プロダクト/ブランディング担当の奥野あい氏
エキサイト メディア・プラットフォーム事業部 D2C部 新規事業開発グループ EMININAL プロダクト/ブランディング担当の奥野あい氏

 その一環で新規事業として立ち上がったのが、エミニナル矯正というわけだ。ではなぜ、矯正歯科だったのか――。

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