2021年7月15日にコーポレートスローガン「あなたと世界を変えていく。」を打ち出したNTTドコモ。新たに綾瀬はるかさんを起用し、従来の携帯電話会社とは一線を画すプロモーションを実施するなど、ブランディング戦略を大きく転換している。その背景にはZ世代へのアピールが大きく影響しているようだ。

7月から綾瀬はるかさんをブランドアンバサダーに起用したNTTドコモ
7月から綾瀬はるかさんをブランドアンバサダーに起用したNTTドコモ

「安定」から「革新的」へのイメージ転換

 2020年12月に日本電信電話(NTT)の完全子会社となり社長が交代するなど、ここ最近大きな変化が相次いでいるNTTドコモ。そのNTTドコモが、新たなコーポレートスローガン「あなたと世界を変えていく。」を打ち出し、ブランドステートメントの一新を図っている。

 

 同社のプロモーション部長である坂本秀治氏によると、スローガンの変更には時代毎に求められる役割の変化が反映されているが、今回のスローガンには大きく2つのメッセージが込められている。その1つは「世界を変えていく」、つまり新しいチャレンジをしていく姿勢を示すことであり、そこにはNTTドコモのイメージが「よくも悪くも安定的」であることが影響していると、坂本氏は話す。

 複数のブランド調査において、同社は伝統があって品質がよく、信頼できると評価されている一方、先進性や変革へのチャレンジといった評価は低く、とりわけ「Z世代」からはそうした部分での評価が低いとのこと。NTTドコモは2021年3月より、明確に若い世代を狙った新料金プラン「ahamo」を打ち出すなど若い世代の獲得に非常に力を入れているが、「我々がファンになってほしい世代に魅力が伝わっていない」(坂本氏)というのが現状だ。

NTTドコモ、プロモーション部長の坂本秀治氏
NTTドコモ、プロモーション部長の坂本秀治氏

 新しいスローガンを考案したTBWA HAKUHODOのエグゼクティブクリエイティブディレクターである細田高広氏は、NTTドコモの評価が低いイメージは「ある種、未来のゾーン。これから先の勝負を見るときに伸ばさないといけない所」と話す。そこでZ世代にもNTTドコモの先進性を伝え、古臭いイメージを変えるためスローガンを変えた。

 そしてもう1つが「あなたと」、つまりNTTドコモだけでなく、パートナーとなる企業らと世界を変えるチャレンジに取り組んでいくことだ。NTTドコモは2015年より「+d」を打ち出しパートナー企業との協業に力を入れているが、「今の時代、1社でイノベーションを創出することはできない」と細田氏は話す。

 NTTドコモは通信をはじめとした非常に多くの技術アセットを保有している。それらを活用してパートナー企業と消費者との間に立ち、新時代の革新を起こす存在となるイメージを打ち出すため「あなた」を取り入れた。企業スローガンは自社アピールの側面も強い。「あなた」で始まるスローガンはかなり異例だというが、細田氏は「自分語りを嫌う傾向にある」Z世代を意識したことも、その理由の1つになっていると話す。

 またこのスローガンは社外へのアピールだけでなく、社内に向けた変革を促す狙いもある。NTTドコモの社員はNTTによる完全子会社化によって今後への懸念や不安を多く抱えており、企業の変化に合わせて社員の意識を変えるには「インナーコミュニケーションの観点からメッセージが必要と考えていた」と坂本氏は話す。

 そこで新しいスローガンには、NTTグループ自体のフォーメーションが変わるのを機に、社員から新しい発想を引き出していく意味合いも込められている。NTTドコモの中にはスタートアップのマインドを持つ社員も多く存在している。それらの中からeスポーツリーグブランドの「X-MOMENT」など新しい事業が生まれている。新たな動きを社内に伝えることで社員の意識を変え、社内の変化を社外にも伝えてNTTドコモ全体を変えていくことも、目標の1つとなっている。

TBWA HAKUHODOエグゼクティブクリエイティブディレクターの細田高広氏
TBWA HAKUHODOエグゼクティブクリエイティブディレクターの細田高広氏

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