博報堂DYメディアパートナーズ(東京・港)が、広告メディアビジネスのデジタル化ソリューション「AaaS」(Advertising as a Service、アース)を強化している。中でも「TV AaaS」は、テレビCMの運用型広告化を推し進めるべく大幅なアップデートが図られているが、その狙いとメリット、今後に向けた課題などについて、同社のAaaS担当者に話を聞いた。

AaaSの再編で「TV AaaS」をさらに強化

 まず2021年6月1日、これまでAaaSの中で展開されてきた複数のソリューションを再編した。「Analytics AaaS」「TV AaaS」「Tele-Digi AaaS」「Digital AaaS」の4つに集約している。

 「Analytics AaaS」でメディアごとの広告効果を診断してKGI(重要目標達成指標)を実現するためのKPI(重要業績評価指標)を設定。それを基にテレビ広告対応の「TV AaaS」やデジタル広告対応の「Digital AaaS」、そしてテレビとデジタルの双方に統合的な対応ができる「Tele-Digi AaaS」と、用途に応じた3つのサービスを用いて広告の運用から効果測定、そして最適化を図る仕組みを構築した。

 広告主は、Analytics AaaSで広告を最適化したいメディアとKPIを定め、メディア戦略を決める。これによってAaaSの何を活用するのかが変わってくるという。

 例えばB2B系のスタートアップであれば、認知向上のためのブランドリフトが重要なのでTV AaaSを活用する。カーディーラーが顧客訪問のため輸入車の指名検索をKPIに定めた場合は、テレビとデジタルを横断したTele-Digi AaaSを活用するのがよい。テレビやYouTubeなどへの出稿と、検索数を確認しながら最適化を図っていくという。

 そしてここ最近、いくつかのアップデートを実施して機能を拡充しているのがTV AaaS。テレビCMの効果をモニタリングして分析し、効果的なプランを再構築できるソリューションだ。中でも21年6月25日のアップデートでは、これまでプランニングからバイイング、モニタリングの各フェーズで分断していた要素をなくして一気通貫でPDCAを回せる体制を整備。メディアと広告主の同意の下で、広告主と広告枠の再分配を可能にすることで、テレビCMをデジタルの運用型広告のように扱えるソリューションへと進化させた。

 現在は放送局側の体制の都合もあってCM素材の入れ替えなどには時間がかかるというが、それでも放送局側との折衝によって、早ければ3~4日程度で素材の入れ替えを実現しているとのこと。実際にうまく運用できるか、放送局と広告主との間でPoC(概念実証)を実施したという。

AaaSは「Analytics AaaS」「TV AaaS」「Tele-Digi AaaS」「Digital AaaS」の4つに集約して展開している(博報堂DYメディアパートナーズの資料を基に編集部で作成)
AaaSは「Analytics AaaS」「TV AaaS」「Tele-Digi AaaS」「Digital AaaS」の4つに集約して展開している(博報堂DYメディアパートナーズの資料を基に編集部で作成)

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