昔からある食材が、栄養価の高さに加えて、癖の無さで再評価されている。豆腐の加工食品「豆腐干」は、糖質が少なくたんぱく質が豊富なことから人気に火が付き、21年の月平均の販売数量は前年比3倍のペースで伸長する。高たんぱく質で、カロリーや脂質は大豆よりも低い「ひよこ豆」も商品ラインアップが拡大。家飲み需要の高まりもあり、販売を伸ばす。
※日経トレンディ2021年7月号の記事を再構成
大豆を使った肉・米の代用食品の普及が進む中、昔ながらの豆腐の加工食品にも要注目だ。現在、健康食品に携わる業界関係者が熱い視線を送っているのが「豆腐干(とうふかん)」。首都圏のスーパーに並び始めている。
豆腐干は豆腐に圧力をかけて脱水し、軽く乾燥させたものを指す。実は昔からある中華料理の食材だ。2020年春、豆腐干を商品化した優食(東京・江戸川)は、「100グラム当たり糖質1.8グラム、たんぱく質23グラムとヘルシー。発売以来、売り上げは前月比100%以上の右肩上がりがほぼ毎月続いている」と人気ぶり説明。その勢いは21年に入ってさらに増していて、月平均の販売数量は前年比3倍のペースで伸びているという。
【第2回】 豆腐を麺状にした「豆腐干」がブレイクの兆し ひよこ豆にも注目←今回はココ
優食の豆腐干は1食分で実勢価格250円(税込み)程度。意外にも癖が無く、料理のアレンジがしやすいため、最初は中華麺やうどん代わりに買う人が多い。その後、他のレシピにも挑戦し、リピーターが増えていくという構図が生まれている。
記者が食べたところ、小麦由来の麺と比べてかみ応えがある印象。確かに癖も無く、好んで食べる人は多いだろうと感じた。
麺類から炒め物まで幅広くカバー 糖質制限中に重宝する万能食材
豆腐干(優食)
豆腐を麺状にした加工食品。低糖質・高たんぱく質が特徴で、ゆでて使う。パスタや中華麺の代用になるロングタイプ、あえ物や炒め物に合うショートタイプなど3種類がある。ショートタイプをパクチーとあえて中華風に味付けした料理は、手軽に作れて人気だ。現在は中国で製造しているが、「原料を国産でそろえ、製造も日本で行う『完全国産豆腐干』を年内に投入予定」(優食)。
豆腐干の持つ健康食材としてのポテンシャルに目をつけた企業も現れた。食品・酒類の総合卸売会社である国分グループ本社(東京・中央)は、自社開発した健康系おつまみシリーズの一素材として採用。「出汁かつお味」と「麻辣山椒味」の2種類を21年3月に発売した。
「味付けの幅が広い点が魅力。今回のシリーズは豆腐干を含めて10アイテムを用意したが、ドラッグストアの中には豆腐干だけを扱ってくれるところもある。潜在ニーズはもっとあり、伸びしろは大きいと見ている」(国分グループ本社)
肝臓に配慮したおつまみ豆腐干
飲み活ラボ 豆腐干(国分グループ本社)
健康志向のつまみシリーズの1つに豆腐干を採用。「肝臓の働きを促進するのに、たんぱく質は効果的。高たんぱく質で新しいおつまみを考え、豆腐干にたどり着いた」(国分グループ本社)。「出汁かつお味」には鶏ささみ肉が、「麻辣山椒味」には鶏ひき肉が入っている。21年3月発売。実勢価格320円(税込み)。
食物繊維に似た効果 和食以外にも
新あさひ豆腐きざみ(旭松食品)
高野豆腐は食物繊維に似た働きをする「レジスタントたんぱく質」を含んでいる。旭松食品は、キーマカレーやガパオなどのひき肉料理に使うことを想定して、高野豆腐を小さくカット。パッケージデザインを一新した「新あさひ豆腐きざみ」を、21年3月にリニューアル発売。実勢価格140円(税込み)。
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