時間栄養学に基づいた食生活を実践するに当たり、強い味方になるのが「植物肉」だ。大豆などが主原料で、牛・豚などの肉に比べて高たんぱく、低脂質。夕食でたんぱく質を補いつつ脂質を極力取らないことが「太らない食べ方」では重要なので、まさにぴったりの食材だ。料理研究家2人が9つの商品を実食し、料理での使いやすさを検証した。

※日経トレンディ2021年7月号の記事を再構成

前回(第7回)はこちら

 新製品が近年次々と登場し、店頭をにぎわせている「植物肉」。時間栄養学による「太らない食べ方」では、夕食でたんぱく質を補いつつ脂質を極力取らないことが重要とされる。夜にしっかり食べたいという人にとって、高たんぱく、低脂質の植物肉は賢い選択肢になる。

 大豆などを主原料とする植物肉は、これまで調理済みのハムやソーセージなどの加工品が多かったが、ここに来て料理に使いやすいミンチタイプの品ぞろえが充実し始めた。例えばイトーヨーカドーやイオンの一部店舗の精肉売り場では、牛・豚のひき肉や合いびき肉の隣にミンチタイプの植物肉が並べられている。

 種類が充実しているのは冷凍タイプで、常温保存が可能なレトルトタイプもある。自宅に常備しておけば、高たんぱく・低脂質な夕食メニューをさっと作れる。通常のひき肉と同じくサラダ油でフライパンで炒めるだけでよいのもポイントだ。

 ミンチタイプを中心に、ひき肉料理などに使える植物肉で比較的手に入れやすい商品9種類をチェックした。いずれも一定レベルの味をクリアしており、味に問題を感じる商品は無いというのが第一印象だ。

 ただし通常のミンチ肉と違って、商品ごとに食感がかなり異なり、肉っぽさの表現を各社が工夫している。「味付けも個性を競い合い、濃いものもあればあっさりしたものもある。それぞれの特徴を知ったうえで、個性が引き立つメニューに使うようにしたい」。9商品をチェックした料理研究家で野菜ソムリエの荒川文子氏は、こう分析する。

同じ大豆系の植物肉でも、たんぱく質含有量に差あり

 商品ごとの個性を知るには、パッケージに書かれている原材料表記を見るのが手っ取り早い。まず主原料については、多くの商品が使っているのが「脱脂大豆」「大豆たんぱく」。脱脂大豆とは、大豆を絞って油を作った後に残ったものを加熱・乾燥させるなどしたもので、たんぱく質を豊富に含む。大豆たんぱくは脱脂大豆を加工したものであり、同じ系統と考えてよい。

 一口に脱脂大豆、大豆たんぱくが原料と言っても、100グラム当たりのたんぱく質含有量は商品によって差がある。最も少ない場合で11.5グラム(良品計画「大豆ミート ひき肉タイプ」)、最も多かったのはネクストミーツ「NEXTカルビ 1.1」で33グラムと約3倍の開きがあった。

 なお、搾る前の大豆を丸ごと使う場合もある。イオン「大豆からつくったミンチ」がそれで、植物肉ベンチャーDAIZ(熊本市)が開発した発芽大豆を原料として用いる植物肉「ミラクルミート」を採用する。「脱脂大豆や大豆たんぱくには、油揚げのような独特の香りがある。個人差はあるが、それが鼻について気になるなら発芽大豆を使った植物肉を選ぶとよい」(科学する料理研究家のさわけん氏)。

●マルコメの「ダイズラボ」を手軽に
大豆のお肉(イトーヨーカドー)
大豆のお肉(イトーヨーカドー)
栄養成分(100グラム当たり)/エネルギー:101キロカロリー、たんぱく質:17.0グラム、脂質:0.8グラム。実勢価格84円(100グラム当たり・税込み)。冷蔵

 味噌大手のマルコメが2015年に発売した大豆ベースの植物肉「ダイズラボ」の乾燥タイプを、イトーヨーカドーが21年3月から店内で戻して冷蔵品としてトレーに載せて販売開始。自分でやるとお湯に3分浸すなどの手間がかかるが、本製品なら買ってすぐ料理を始められる。「味付けがしょうゆだけで塩味も少なく、作るメニューに応じて調味できて自由度が高い」(荒川氏)。100グラム当たり84円(税込み)とコストパフォーマンスが高い。

●そのままマーボー豆腐の具材に
大豆ミート ひき肉タイプ(良品計画)
大豆ミート ひき肉タイプ(良品計画)
栄養成分(100グラム当たり)/エネルギー:133キロカロリー、たんぱく質:11.5グラム、脂質:5.5グラム。実勢価格290円(80グラム入り・税込み)、100グラム当たり363円。レトルト

 しょうゆや植物性油脂、清酒で濃いめの味付けがしてあり、そのままの状態でマーボー豆腐やミートソース、担々麺といったメニューの具材として使える。9商品中、唯一のレトルトタイプなので常温で保存可能。「見た目だけでなく、食感がしっとりしていてハムに似ている。味付けはしょうゆベースで、清酒などを加えてあるおかげで、調味せずにトッピングするといった使い方がしやすい」(さわけん氏)。20年10月発売。

●「焼肉ライク」でも提供中
NEXTカルビ 1.1(ネクストミーツ)
NEXTカルビ 1.1(ネクストミーツ)
栄養成分(100グラム当たり)/エネルギー:266キロカロリー、たんぱく質:33.0グラム、脂質:2.9グラム。実勢価格429円(80グラム入り・税込み)、100グラム当たり536円。冷蔵

 植物肉スタートアップのネクストミーツ(東京・新宿)が開発した、焼き肉用に成形した植物肉。一般的な焼き肉と比べるとたんぱく質が約2倍、脂質は半分。1人客向け焼き肉店「焼肉ライク」も店舗メニューに採用する。「味付けがカルビに似せてあり、焼いただけでビールのつまみになる」(荒川氏)。都内や神奈川、千葉のイトーヨカドーでも取り扱う。20年8月発売。

●発芽大豆をミンチに加工
大豆からつくったミンチ(イオン)
大豆からつくったミンチ(イオン)
栄養成分(100グラム当たり)/エネルギー:283キロカロリー、たんぱく質:15.6グラム、脂質:22.8グラム。実勢価格149円(100グラム当たり・税込み)。冷蔵

 植物肉ベンチャーのDAIZが開発した発芽大豆ベースの植物肉「ミラクルミート」を使って、イオンが自社工場でミンチ状に仕立てた。牛・豚のひき肉に似せた加工により、ハンバーグや餃子といったひき肉料理が作りやすい。「食感が肉に近いうえ、発芽大豆ならでのうまみがある」(荒川氏)。半面、脂質が100グラム当たり22.8グラムと9商品で最も多かった。21年3月発売。

エンドウ豆ベースの植物肉を試すのもあり

 大豆系植物肉の香りが苦手なら、海外メーカーに多いエンドウ豆のたんぱくを使った商品もお薦め。デンマークのナチューリ「プラントベースミンチ」と香港のオムニミート「オムニミート[ミンチ]」が該当する。

このコンテンツ・機能は会員限定です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
4
この記事をいいね!する

日経トレンディ12月号

【最新号のご案内】日経トレンディ 2021年12月号
【巻頭特集】2022 ヒット予測100
【第2特集】2021 ヒット商品ベスト30
【第3特集】シティポップ×レコード再ブームの理由
【インタビュー】なにわ男子/山田裕貴/有村架純
発行・発売日:2021年11月4日
特別定価:790円(紙版、税込み)
Amazonで購入する