高校時代は全くの無名ながら、サッカー日本代表ではキャプテンも務めた元Jリーガーの中澤佑二氏。20年間現役で活躍し、J1で593試合に出場した。199試合の連続出場記録は、ゴールキーパーを除くフィールドプレーヤーとして歴代最長。その強靭な体を支えた「食事」について聞いた。

※日経トレンディ2021年7月号の記事を再構成

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元サッカー日本代表 中澤 佑二 氏
1978年、埼玉県生まれ。20歳で現・東京ヴェルディの練習生となり、99年プロデビュー。2019年に現役引退するまで強い体を維持し、J1の連続出場記録を持つ。近著に『鉄人中澤佑二の食トレ』(ダイヤモンド社)

——長い現役時代、食事ではどんなことに気を付けていましたか。

 まず、サッカー選手は体脂肪が多いと戦えないので、太りやすくなる脂質は避けていました。取るにしてもオリーブオイルなど体に良い油を選びます。だから、揚げ物や脂質が多い食べ物は現役時代はあまり食べていないんです。現役引退後に、テレビ番組で「20年ぶりに唐揚げを食べる」場面をわざわざ取り上げてもらったのは、ビックリしましたね(笑)。

 サラダにはドレッシングを使わずにオリーブオイル、焼き肉で食べるのはカルビではなく、脂肪が少ない赤身。日産スタジアム内に選手が利用するレストランがあるのですが、僕はシェフに色々とリクエストして作ってもらったりしていました。

 また、年齢とともに気を付けるポイントが変わっていきました。若い時は、うっかりすると痩せてしまうので、おおよそのカロリーを計算しながらしっかり食べるようにしていました。

 それが30歳を超えてからは、同じ食事・練習量・生活サイクルなのに、体脂肪だけは増えるようになりました。しかし、炭水化物をガッツリ減らして極端に節制して体脂肪を落としたら、今度はけがをしてしまい、何が正解なのか悩んだ時期もあります。年齢とともに適正な体脂肪率は少しずつ増えるので、少な過ぎても良いというわけではないのです。

 偏った食事やジャンクな食事を取るとプレーのパフォーマンスが落ちたり、けがしやすくなって選手寿命も縮めかねません。最終的には、おいしく食べることで明日も頑張ろうと思いたい。体脂肪が多少増えても体が動けてけがをしなければいいと思ってからは、カロリー計算をしなくなりました。

——積極的に取った食材は何かありますか。

 魚や海藻類、納豆など色々ありますが、野菜ではトマトやブロッコリーなど色の濃い野菜を積極的に取っていました。中でも好きなのはアスパラガス。僕はスーパーフードじゃないかと思っています。代謝を活発にするアスパラギン酸や、抗酸化作用があるルチンを含みますし、ビタミンも豊富。炒めても焼いてもおいしい。焼きアスパラに塩とオリーブオイルや、ワサビをちょっと添えたりしてね。僕はドレッシングを使わないので、味に変化をつけるため、ニンニクを利かせたり、ゴマを使ったりすることも多いです。

——食事に対する知識はどうやって身に付けたのでしょう。

 例えば、02年ごろから抗酸化という言葉や、活性酸素が疲れを残す原因になることは何となく知っていました。ポリフェノールが多いコーヒーは20代後半から飲むのが習慣になっていましたし、35歳ぐらいからは、連戦などで疲れたときに苦いチョコレートも糖質補給に取っていましたね。

■間食はハイカカオのチョコレートで
■間食はハイカカオのチョコレートで
基本的にスイーツは一切食べないが、チョコレートだけは別。砂糖不使用のハチミツで味付けしたハイカカオのものを取る

 当時は、食事に気を使うサッカー選手自体がすごく少なかったんです。僕はプロになりたいと決意したのが、中学3年の夏と遅かったので、人より練習するしかないし、サッカー選手になるためには好き嫌いは言っていられない。周りと差をつけるには睡眠と食事の質を上げることだと思ってきたので、20代の頃から自分なりに本を読んだり、栄養士に話を聞いたりしていました。

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