適切なタイミングの食事により、体内時計のリズムをコントロールすることを目指す「時間栄養学」。その健康効果をさらにアップさせるには、「時間遺伝子」に働き掛ける栄養素や食品成分を食事に取り入れるといい。特に重要なのが、体内時計のスイッチを入れる朝食。手軽に用意できる「最強の朝食」を紹介する。

※日経トレンディ2021年7月号の記事を再構成

前回(第2回)はこちら

 基本的には食事のタイミングを守っているだけで実践できる「時間栄養学」だが、もっと積極的に体内時計をコントロールする方法もある。時間遺伝子に働き掛ける栄養素や食品成分の存在が明らかになってきたのだ。

【特集】太らない最強の食べ方
【第1回】 「時間栄養学」って? マンガで分かる間違いだらけの食事法
【第2回】 体内時計を整えるカギは「朝食の炭水化物」「12時間以内に夕ご飯」
【第3回】 コンビニですぐ買える! 「時間栄養学」がはかどる最強の朝食←今回はココ

体内時計を動かす“ブースト食”とは

 まず朝食で体内時計を動かすには、たんぱく質、炭水化物、脂質の3大栄養素の取り方にコツがある。基本的にたんぱく質の場合は、消化・吸収が早い食品の方が体内時計のリセットに寄与しやすい。例えば、たんぱく質摂取にお薦めなのが納豆だ。「大豆を発酵させることで、たんぱく質を分解してアミノ酸を生成しているため、体に吸収されやすい」(時間栄養学者の大池秀明氏)

 炭水化物や脂質は、インスリンが働きやすい食事が望ましい。実は糖を蓄える役割を持つインスリンは悪者のようにいわれるが、体内時計の活性化に一役買う。炭水化物では、イモ類でんぷんなどが挙げられる。脂質は魚油で取る。サバ缶や焼き魚などに含まれるDHAやEPAなどのn-3系(オメガ3)の脂肪酸は、インスリンの分泌を上昇させる。「朝食に魚肉ソーセージを加えるだけでもよい」(大池氏)ので、簡単に実践できそうだ。

 朝食をさらに“強化”する手もある。朝のコーヒーだ。カフェインはマウス、ヒトの培養細胞において体内時計を動かす効果が確認されており、「インスタントコーヒーに含まれる程度の薄めのカフェインでも体内時計に作用する」(大池氏)という。動物試験のみだがシナモンも同様の効果があることが確認されており、シナモンを振りかけたシナモンコーヒーなども朝食向きだ。

体内時計を動かす栄養素

【DHA・EPA】
【DHA・EPA】
体内時計を動かすには、サバやイワシ、サンマなどのいわゆる青魚に多く含まれるDHA・EPAが有効。n-3系の脂肪酸で、インスリンの分泌を促す効果がある
【カフェイン】
【カフェイン】
カフェインは体内時計に作用することが、ヒト、動物の培養細胞における実験で確認されている。濃度もインスタントコーヒーに含まれる程度で問題ない
【シナモン】
【シナモン】
動物試験に限るが、カフェイン同様体内時計を動かす効果が確認されている。コーヒーや紅茶に振りかけるなど、意外と簡単に摂取できる

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