インフルエンサーや有名人のオススメは買わない? Z世代へのヒアリングからは、そんな慎重な消費行動も見えてきた。ただ、完全に参考にしないかというと、そうとも言い切れず……。「Zs」代表の牧島夢加氏が、学生の生の声から消費行動を分析する連載8回目。今回は、Z世代がどのような情報源や人を参考にし、消費を行っているのかを分析した。
新商品やサービスを購入する場合、これまでは憧れのアイドルやインフルエンサーをSNSでフォローし、購入品を常時チェックしてまねをするという行動が若者の間では目立っていました。
しかし、最近のZ世代は、テレビCMや広告、インフルエンサーのコラボ商品が認知のきっかけになったとしても、そのまま購入決定にまで結び付かず、入念なリサーチを自ら行っている姿をよく見かけます。
彼ら・彼女らは、憧れの誰かをフォローしてそっくりまねるよりも、有名人か一般人かどうかは関係なく、複数の人から自分の嗜好にあったモノ・コトを集めています。そして、複数の誰かのいいとこ取りをし、パーソナリティーを確立することに価値を感じているようです。
そこで今回は、誰かの消費行動を参考にいいところを取り入れ、これまでのようにインフルエンサーやモデルの情報をそっくりそのまま取り入れるわけではない、新たなZ世代流の消費像について紹介していきます。彼ら・彼女らにとって、どのようなきっかけがあると楽しくポジティブな消費につながるのか、見てみました。
ロールモデルはいない、複数人のセンスを参考にしたい
まず、大前提の話になりますが、これまで私がZ世代調査を重ねてきた中で一つ特徴としていえることが、Z世代は憧れの人やロールモデルがいないとよく答えることです。誰か特定の1人を追いかけて、その人になれるように工夫をするわけではありません。ロールモデルや憧れの存在を1人に絞り、価値観や行動を取り入れた場合、結果としてできた自分はあくまでその人の“劣化版”となってしまい、そこに自分だけの個性はないとZ世代は考えているからです。
ただし、彼ら・彼女らが全く誰も参考にしないかというと、そうではありません。Z世代は「誰か1人」をそっくりそのまま手本とするのではなく、「誰かの持つセンスの一部」を複数人から参照し組み合わせて、オリジナルの自分像を築き上げていることが分かりました。そのことをまるでビュッフェスタイルだと例えて説明するZ世代もいました。そこで、このいいどこ取りのスタイルを「ビュッフェ消費」と名付けたいと思います。
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