20代半ばまでのZ世代。D2Cや“無名”ブランドに興味を持つなど、買い物の仕方が大きく変化しているといわれる。「Zs」代表の牧島夢加氏が、学生に話を聞く座談会「Zs Talk」を通じて消費行動を分析する本連載。第5回は、Z世代の消費に直結するブランド観について聞いたところ、“暗号消費”をする姿が見えてきた。

Z世代のブランド観を聞いていくと、ファッションの選び方、買い方の変化が見える(画像/Shutterstock)
Z世代のブランド観を聞いていくと、ファッションの選び方、買い方の変化が見える(画像/Shutterstock)

前回(第4回)はこちら

 Z世代がD2Cブランドを愛用する理由について、本連載の第1回で分析しました。一方で、有名ハイブランドが新規顧客層となるZ世代を獲得するために、ストリートの代表格である存在を広告起用するといった事例も目立ちます。そこで今回は、ハイブランド好きや誰も知らない無名ブランド好き、そして機能重視派など、多様なZ世代を集めてブランド観についてディスカッションしてきました。Z世代がどこまでブランドに価値を置いているのか、彼らなりの見せ方やブランド愛への育て方についてのヒントを探りました。

今回座談会に参加した「Zs」のメンバー

「記号消費」ではなく「暗号消費」を好む?

 有名ブランドのロゴTシャツや、抽選でなかなか当たらないスニーカーなど、誰が見てもうらやむアイテムを身にまといたいという行動は、どの世代にも共通で見られることだと思います。しかし、ZsTalkに参加した学生に聞いてみると、誰でも分かる価値を見せつけることに少し抵抗感があることが分かりました。

ハイブランドの中でも所有するアイテムによっては、やんちゃっぽく見えるデザインもあるから、分かりやすくハイブランドのあのアイテムだ! と判別されるものは持ちたくない。 (リリー・23歳)
服は、人から見てすぐにハイブランドを使っているなと分かりやすいものは嫌。自分は、パッと見ても分からない高機能なイヤホンにお金をかけている。高いものを身に着けているということが、他人からはすぐに分からないほうがいい。(かずや・22歳)

 上の声からも分かるように、彼らは(誰もが判別できる)記号的なファッションをすることによって「あの人はあのブランドが好きなんだ」と、不特定多数の人からカテゴライズされることを嫌っているのかもしれません。

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