Z世代を知るには、Z世代に聞くしかない。本連載では、本人もZ世代である「Zs」代表の牧島夢加氏が、学生に話を聞く座談会「Zs Talk」を通じて生声を収集し、消費行動やトレンドを分析。第1回は、「D2Cブランド」について。なぜD2Cを選ぶのか、どう選ぶのか、本音を聞き出してその理由に迫った。

連載を担当するのは、企業のイノベーション支援などを手掛けるSEEDATAのアナリストであり、若者攻略に特化したプランニング組織「Zs」代表の牧島夢加氏。プライベート活動では、身の回りで本当に起きている若者のSNS行動や消費行動をテーマにしたブログ「ワカモノのトリセツ」を学生時代から運営する
連載を担当するのは、企業のイノベーション支援などを手掛けるSEEDATAのアナリストであり、若者攻略に特化したプランニング組織「Zs」代表の牧島夢加氏。プライベート活動では、身の回りで本当に起きている若者のSNS行動や消費行動をテーマにしたブログ「ワカモノのトリセツ」を学生時代から運営する
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 1990年代半ばから2000年代の初めに生まれた25歳前後よりも若い世代であるZ世代。ソーシャルネーティブであり、価値観の変化が大きいといわれています。憧れのロールモデルはおらず自分の世界観を重視し、環境問題のことにも関心度が高い傾向が見られるといった声も聞かれます。筆者である私自身も、Z世代の1人です。本連載は、そんなZ世代の思考回路について、Z世代の学生たちに直接聞く座談会「Zs Talk」を通じて集めた生の声からZ世代である私が当事者目線で分析し、彼らの価値観や考え方を通訳していくものです。

 初回である今回のテーマは、「Z世代がマスブランドよりもD2Cブランドを選ぶ理由」についてです。

 私自身、コスメは百貨店よりもD2Cブランドで買う頻度が上がり、新しいものを見つけてはお試し購入をしています。そもそもZ世代はどんなブランドを購入しているのか。比較的高い価格帯のD2Cも人気を集めていますが、なぜZ世代がわざわざ選ぶのか。購買の動機や理由について聞き出しました。

今回座談会に参加した「Zs」のメンバー
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こだわりを「外注」するためにD2Cを活用

 まずZ世代がD2Cブランドを購入している理由を聞くと、「自分がこだわっている商品カテゴリーではなく、こだわりがない商品カテゴリーこそD2Cを選ぶ」という意外な事実が分かってきました。Zs Talkからはまさにこんな生声が聞こえてきました。

Zの生声
「D2Cブランドを利用するのは、選ぶ労力を減らしたいから。自分にこだわりのない領域こそ、こだわりがあふれている確証のあるD2Cブランドを選択する。他人がこだわりを持ってつくっているD2Cブランドであれば、そこは自分のこだわりを反映しなくてもいい。なので、ちょっと値段が張ってもいいと思う。こだわっていないなら安価で済ませるという方法もあるが、自分が所有するアイテムの中にこだわりがないものを入れたくないという気持ちがベースにある。“不純物”を入れたくない気持ちの方が強い」(ハタノ・21歳)
Zの生声
「他の人のこだわりがあるものの方が、自分の思考過程を減らせる。大きいチャネルで買うと偽物が紛れている可能性もあるし、質が保証されているかも分からない。さらに、(つくり手の)ストーリーや思いが伝わってこない。だから選択肢には入れていない」(さき・20歳)

 D2Cブランドは、大量生産のマス向けブランドと異なり、価格帯が高めに設定されている場合も多いです。若者は自由にできる金額があまり多くなく、一見するとこだわりの少ないジャンルのものは、プチプラ系のブランドや気軽に入手できるマスブランドに手を伸ばすのかと思われがちですが、実はそうではない消費行動も見えてきました。

 では、なぜこだわってもいない領域にわざわざD2Cブランドを選択するのでしょうか?

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