
環境への配慮から、紙製のパッケージが見直されている。プラスチック製のパッケージを紙製に切り替えるメーカーも増えつつある。ただ、紙を使うメリットを生かし、デメリットを最小限に抑えるには、知識と技術が不可欠だ。
そんな中、30年以上前から「Design×Printing=GRAPH」というコンセプトを掲げ、デザインで印刷物の価値を高めることを目指しているのが、GRAPH(兵庫県加西市)だ。GRAPHの祖業は印刷業で、現在はデザインやブランディングをはじめ、商品開発や印刷・加工などのものづくりまで一貫して手掛けている。
紙製のパッケージも数多く開発している。GRAPHが最も得意とするのが、アーティスティックなデザインと、職人が手作業で印刷や加工を施したようなアナログな表現の掛け合わせ。特徴は、その多くが大量生産できるように、デジタルで綿密にデザインしていることだ。独創的なパッケージデザインでありながら、コストにも目配りをして設計されている。
例えば、平等院(京都府宇治市)や大阪城天守閣(大阪市)、二条城(京都市)などのミュージアムショップでお土産として販売している「消しゴム」のスリーブケースや、脱サラファクトリー(兵庫県洲本市)の手作り塩「五色の浜雫 自凝雫塩RARE SALT(おのころしずくしお)」の外箱、小牧醸造(鹿児島県さつま町)の麦焼酎のラベルなどに施している繊細な絵柄入りの金や銀の箔押しは、彫刻版をデジタルデータで制作している。
GRAPHオリジナル商品の「箸袋」は、木版画を和紙に刷ったような質感だが、オフセット印刷だ。「箸袋にはあえて版ズレが起きやすい平滑性の低い紙を選定したり、インクの調合や印刷機なども調整したりして、アナログなイメージに近づけた」とGRAPH代表の北川一成氏は話す。
高度な印刷加工で知財を守る
箔押し用の彫刻版をデジタルデータで制作すること自体は、特別なことではない。ただ、細かいラインや陰影も忠実に再現するのは難度が高い。GRAPHには長年にわたり蓄積してきた技術があるため、時間的にも経済的にもロスが少なく、コストを抑えることができるという。
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