
ドラッグストアなどで誰もが購入できる一般用医薬品の情報を容易に取得できるよう、一般用医薬品を開発・販売するシオノギヘルスケア(大阪市)はパッケージのリニューアルに踏み切った。パッケージをSDGs(持続可能な開発目標)に配慮したユニバーサルデザインへ変更するというこの取り組みは、塩野義製薬と子会社であるシオノギファーマ(大阪府摂津市)、シオノギヘルスケアの3社が連携した合同プロジェクトだ。
健康の維持増進や疾病予防として、セルフメディケーションが推進されている。これに対応するため、シオノギヘルスケアは2020年4月、プロジェクトの第1弾として解熱鎮痛薬「セデス」シリーズ3製品のパッケージをリニューアルした。大きな変更点の1つが、「アクセシブルコード」を導入したことだ。
アクセシブルコードには、「QR Translator」という多言語表示サービスの技術を活用。この技術で作成したQRコードに、デボス(凹)加工を施したものをアクセシブルコードと呼ぶ。使用言語の違いや視覚障害の有無にかかわらず、利用者が多言語のテキストや音声で情報を取得できるものだ。
具体的には、パッケージに印刷されたアクセシブルコードをスマートフォンのカメラで読み取ると、スマホの設定に応じた言語で医薬品の用量・用法など説明書が表示される。さらに、テキストを自動音声で読み上げることも可能だ。21年4月時点で、日本語を含む7言語に対応している。
QRコードを凹加工したワケ
アクセシブルコードを開発したのは、多言語化とDX(デジタル・トランスフォーメーション)を専門領域とするエクスポート・ジャパン(大阪市)だ。同社が視覚障害者を支援する仕組みづくりを始めたきっかけは、視覚障害者の自立支援団体からの問い合わせだった。16年8月のことだ。
視覚障害者のうち点字を読めるのは10人に1人ほどしかいないといわれており、大半の人は点字よりも音声を頼りにしている。自立支援団体からの問い合わせは、QR Translatorが持つ音声読み上げ機能を、視覚障害者が情報を得るために利用できないかというものだった。
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