お客をつかむ“技ありパッケージ”

瓶や箱を覆う袋状の包装資材「浮世絵ぷちぷち」が人気だ。フィルムのシートに印刷した浮世絵を、プラスチック性の気泡緩衝材で覆った。浮世絵の美しさを持ちながら、外部からの衝撃に強い。従来の包装資材にはなかった付加価値を演出して、ギフト商品向けを狙った。

「浮世絵ぷちぷち」。19世紀中期に西欧諸国へ陶磁器などが輸出された際に、日本人は浮世絵の刷り損じを緩衝材として使用したといわれる。ゴッホやマネなどの印象派の画家を驚かせたという逸話をヒントに、現代のテクノロジーを生かした緩衝材として“復活”した
「浮世絵ぷちぷち」。19世紀中期に西欧諸国へ陶磁器などが輸出された際に、日本人は浮世絵の刷り損じを緩衝材として使用したといわれる。ゴッホやマネなどの印象派の画家を驚かせたという逸話をヒントに、現代のテクノロジーを生かした緩衝材として“復活”した

 「浮世絵ぷちぷち」は、クリエイティブユニットのconeruと、梱包材メーカーで気泡緩衝材「プチプチ」を手掛ける川上産業(東京・千代田)が共同開発し、川上産業が販売。また、日本酒などを販売するマツザキ(埼玉県川越市)も開発に参加し、川上産業の代理店として浮世絵ぷちぷちを仕入れて販売している。

 2017年に開発し、販売は順調。川上産業は21年4月時点で2万枚以上を出荷。今後の売り上げ目標として10万枚以上を掲げる。

 マツザキのECサイトや店舗による販売では台湾や韓国、中国などから訪れるインバウンドや、国内旅行客による川越の観光人気に支えられたという。18年までに年間で約100~200枚、19年以降は年間で約300枚のペースで売り上げていた。

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 20年は新型コロナウイルス感染症の影響でマツザキの売り上げは伸び悩んだ。しかし巣ごもり需要でECは前年比46%増の収益を上げた。ギフト需要も伸び、日本酒を送る際に、浮世絵ぷちぷちと一緒に購入するユーザーが増え、20~30代女性の購入やアジア向けの輸出もみられた。

デザインコンペの受賞作を基に開発

 「通常の箱入り包装以外のちょっとしたサプライズや面白さを求めるお客さまが、浮世絵ぷちぷちを購入している。プレゼントを贈るときの商品を選ぶ楽しさもあるが、それをどういう形で贈るかを考えることも楽しい。贈る人のワクワク感をプラスできたのではないか」と、マツザキでオンラインショップを担当する今野渉氏は言う。

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