
2019年9月、サッポロビールは「HOPPIN’GARAGE(ホッピンガレージ)」と呼ぶ新しいサービス事業を開始するに当たり、アルミ製ビール缶のパッケージデザインにデジタル印刷技術を採用。生産ロットが1万個程度の少量生産のパッケージ印刷でも低コストになり、利益を出せる体制を実現した。
HOPPIN’GARAGEは、一般顧客から募ったアイデアを基に小ロットで独自のビール(発泡酒)を醸造。ユーザーコミュニティーの評価や市場性を踏まえて商品化につなげるという、サッポロビールと一般顧客による“共創プロジェクト”として企画された事業だ。アイデアが採用された一般顧客も実際に参加してビールの味やネーミング、デザインに反映。今までにない商品を開発しようと考えた。
「多様なビールを生み出し、新しいビールの価値や楽しみ方を提供するのが狙い」(新規事業開拓室マネージャーの土代裕也氏)
サッポロビールなど多くのビールメーカーはオフセット方式の印刷技術を活用し、ビール缶にパッケージデザインを印刷している。だが一定数量以上の生産ロットが必要となり、少量生産には適さない。
そこでビール缶を提供する昭和アルミニウム缶と協業し、同社が開発したインクジェット方式によるデジタル印刷技術を採用した。オフセット方式のような印刷版の制作が不要になり、デザインの変更も容易になるため、ビール缶の生産リードタイムを短縮。小ロットでもコスト削減につながった。
ブランド貢献度に経営トップも注目
デザインの面でも色数を増やすことができ、写真やグラデーションを多用した絵柄も表現できるという。デザインの幅を広げることができるため、一般顧客からのアイデアに対応しやすくなった。デザインなどはクリエイティブ企業のSteve* inc.(スティーブアスタリスク、東京・港)が担当している。
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