
「好きな洋食メニュー」の上位に入る料理がオムライス。子供にも大人気だが、作ろうとすると「チキンライスを卵でうまく包めず破れてしまう」など、意外に難しい料理でもある。日本ハムが2020年2月に発売した「袋のままできるチキンオムライス」は、オムライス作りを楽しめるようにパッケージを工夫。子供と一緒に作るコンセプトで人気のレトルト商品となった。
子供と楽しめる料理に
「袋のままできるチキンオムライス」は、常温で保存可能なパウチの中に、味付けしたチキンライスが具材として入っており、溶き卵を入れて電子レンジで加熱すると、チキンライスを卵で包んだ俵(たわら)形のオムライスが簡単に出来上がる。ドライカレーを卵で包んだ「袋のままできるカレーオムライス」も発売しており、調理のやり方は同じだ。
コンセプトは「子供と一緒に楽しんで調理できる」こと。主要購買層は30~40代に設定した。当初の販売目標は2つの商品で年間14億円で、発売直後のコロナ禍による巣ごもり需要はつかんだが、事前に手配していた大がかりなプロモーションを実現できなかったため、年間目標は達成できなかったという。「それでも、狙った通りの顧客層に強くアピールすることができた」と、日本ハム加工事業本部商品統括事業部のデリ商品部第二デリ商品開発課の渡辺詩織氏は語る。
日本ハムでは14年から、同商品に先行して「レンジでできる ふわたまオムレツ」を販売している。この商品も溶き卵をパウチの中に入れ、中の具材と混ぜ合わせて電子レンジで加熱するだけで、オムレツが出来上がる。袋のままできるオムライスと作り方や料理の形状は似ているが、オムライスは卵でチキンライスを包む必要があり、具材と卵が混ざっているオムレツとは大きく異なる。そこに商品開発の苦労があった。
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袋のままできるオムライスの開発は19年に始まった。ふわたまオムレツと同じパッケージを使い、より進化した卵料理を作ろうと考えた。結果、さまざまな調査で人気の卵料理ランキングの上位に位置していたオムライスに着目。卵でうまく包めないといった料理の難点を克服できれば、市場が広がると判断した。
当初はふわたまオムレツ同様、溶き卵を一度に入れる方法を試した。しかし卵がチキンライスの間に入るなど、食感がもさもさしたり、うまく卵に包むことができなかったりした。試作を何百回も繰り返したところ、溶き卵を2回に分けて入れる方法にたどり着いた。
袋のまま形を整え、溶き卵を2回に分けて入れるだけ
作り方はこうだ。まず袋を開封して底部を大きく広げる。チキンライスを底部に集めて俵形の形状に整える。チキンライスがまとまるよう水分や油分の配合を工夫したという。
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